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「浦戸」を優先的整備地区に指定した「低・未利用地調報告」。書かれてある内容はかなり漠然としたものだが、浦戸の整備の必要性が強調されている |
2014高知市都市計画マスタープラン」の書き換え問題=策定委員に諮らぬまま土壇場で浦戸地区の特定業者の所有地利用を念頭に置いた「防災道路」、「高台を利用した土地利用」というキーワードを市側の独断でプランに挿入した理由について、「抜かりがあったので手直しした」という市側の説明では不可解さが拭えないため、改めて「上から指示があったのか」と清水博・同都市建設部長に問いかけてみた。
「当時は都市建設部にいなかったので経過は知らない。担当課が『部内の判断』と言っているのなら、それ以上のコメントはない」との回答だった。市行政の不可解な動きの背景には、相当な力が働いていると考えるのが普通だが、正面からの取材では限界があり、真相はよく分からないままであった。
■低・未利用地調査
桂浜「道の駅構想」の周辺には、マスタープラン書き換えにとどまらず、不自然な現象がまだ見られる。これほど幾重にも周到な手が打たれていることには驚かされる。
2013年度末に出された都市計画マスタープランをベースに、2014年度には「低・未利用地有効活用基礎調査」を同都市計画課が実施している。
この「調査」は高知市独自のもの。春野、長浜、三里の沿岸3地域を対象に、「防災や地域活性化の等の視点から、低・未利用地の有効活用のあり方を検討する」とするもので、弘岡、内ノ谷、宇賀、浦戸、池の5地区を「概略評価」した結果、宇賀(蒔絵台)と浦戸(道の駅構想の該当地)を、「活用の可能性が高い」として「優先的整備地区」に指定している。
その後は、宇賀の開発は民間に任せ市はノータッチであるにもかかわらず、対照的に浦戸は「官民連携」で市が関わる形で開発する方向になるなど、文字通り、桂浜「道の駅構想」を誘導する結果となっている。
■保安林
この「調査」でまず違和感を感じたのは、「低・未利用地」のとらえ方だった。
一般的に未利用地とは、市街地内の更地など有効に利用されていない土地、使用目的が明確でない空き地、耕作放棄地などのことを指す。だが、この調査で「優先整備地区」とされた浦戸地区の「高台」の大半は、開発を抑制する市街化調整区域であり、一部は保安林にも指定されている。
人家の後背地にある森林は、景観、防災、防風面で大きな役割を持っており「未利用」ではないし、土砂災害の危険が高い「急傾斜地崩壊危険区域」も含まれている。
「浦戸の山は未利用地ではなく、保全すべき土地ではないのか」と同都市計画課に質問するのだが、「観光地の桂浜と連携するエリアとして考えている。一番念頭にあるのは地域活性化だ」など、かみ合った回答はなかった。
策定委委員に無断で土壇場に書き換えたというボタンの掛け違えられたマスタープラン、さらにはこの「低・未利用地調査」では風致保安林という大事な役割を果たしている森林を含むエリアを、「未利用地」として市が「優先整備」をする構想を持つというのは、あまりに歪すぎる。
まして、対象地は特定業者の所有地が大半である。拭えぬ不透明さが、市民の目にどう映るのだろうか。(つづく)(2015年11月15日 高知民報) |