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出陣式で第一声をあげる尾﨑候補(10月29日9時25分) |
高知県知事選が告示された10月29日17時、県選管への立候補届けは3期目をめざす現職の尾﨑正直以外になく、尾﨑の3回目の当選が決まった。
直前まで立候補するかもしれないと言われていた人物が、尾﨑の選挙事務所に闖入するハプニングなどもあったが、大方の予想通り、2度目の無投票当選となった。
同日朝、高知市中央公園で開かれた尾﨑の出陣式で発言したのは西山昌男後援会長、企業経営者と女性代表、岡崎誠也高知市長、岩崎憲郎大豊町長。自民、民主、公明、社民の代表は紹介されただけで、「政治色」を控えた演出は相変わらずだった。
当選を決めた尾﨑は人口減少と南海トラフ地震対策という高知県の根本的課題に立ち向かっていく決意を繰り返し述べ、特に2期8年の地産外商の成果に一定の手応えがでてきていることを強調しながら、「拡大再生産を好循環のループ」に乗せていく取り組みをめざすこと、「地域、地域で人が暮らせて若者が残れるように」なるには道半ばであり、「あと4年では時間が足りないかもしれない。正念場だ」と位置付けた。
一連の尾﨑の発言からは、めざす高知県の将来像を大企業や迷惑施設誘致に頼るのではなく、第一次産業と観光を柱に、とりわけ中山間地域で最低限の生活が成り立つようにするという「身の丈に合った」姿が語られていた。
この方向性は、米軍基地や核燃料廃棄物処分場の誘致に活路を見出そうとする自民党型政治とは趣を異にしている。多くの県民が望む方向性と合致しており、それが結果的に二度の無投票当選という県民からの信任につながっているのだろうと思われる。
片や、尾﨑が描く高知県の将来像に立ちはだかるのが、隣県の最大の「迷惑施設」である伊方原発再稼働であり、県内第一次産業に壊滅的打撃をもたらす恐れのあるTPP「大筋合意」であるが、尾﨑はこれら国政の根幹部分は概ね容認し、県民の立場に立ちきれない。
伊方再稼働とTPP。尾﨑県政3期目は、矛盾を孕んだスタートとなった。(N)(2015年11月8日 高知民報)
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