2015年10月25日

高知県知事選についての態度
10月14日、日本共産党高知県委員会、同県議団が高知知事選挙に、候補を擁立しない態度決定についての声明文を紹介します。


(1)今回の県知事選挙には現職の尾ア正直知事が立候補を表明し、自民党、民主、公明、社民党の各党が推薦を決定しています。日本共産党高知県委員会は今回の選挙にあたって、前回に続いて対立候補を立てずにのぞむことを決定しました。今後も建設的野党として「是は是、非は非」の立場で積極面は大いに協力し、問題点はただすという対応をしていきます。

(2)高知県は国の悪政のもとで、第一次産業の低迷、若者の県外流出など人口減、少子高齢化など厳しい環境に置かれ、県民の雇用と暮らしを守ることが切実に求められています。また、南海トラフ地震から県民の命と暮らしを守る対策も待ったなしとなっています。 こうした県民の命と暮らしにかかわる切実な課題に対して、二期目の尾崎県政は、全国で最も弱い財政力、自民党多数の県議会という制約のもとで、我が党の提案とも共通する積極的な取り組みを実施してきました。

経済・雇用対策では「呼び込み」型のビックプロジェクトを否定し、第一次産業を軸に地域の資源に光を当てた取り組みを官民協働で推進しています。また医療・介護・福祉分野を重要な雇用の場と位置付け、特養ホームの増設や中山間地の訪問介護への県独自の支援を実施しています。  南海トラフ地震対策では、市町村が財政負担なしで避難タワー・避難道を整備する交付金の実施や、学校・民間住宅の耐震化促進などに力を入れてきました。

教育・子育て支援では県立大学の拡充、学校図書館支援員、放課後学びの場、高校生サポーター、所得連動返済猶予型奨学金の創設、スクール・ソーシャル・ワーカーの大幅増、中学校給食の前進など教育機会の拡大と厳しい環境にある子どもの支援を重視してきました。

また高校、小中学校を地域の核として重視し、統廃合に慎重な姿勢をとっています。特に地域支援企画員、地域防災本部をはじめ市町村、地域の取り組みを支援するための人的体制を充実させ、実践の中で取り組み点検・改善しながら進めていることに、県政課題に向き合う真摯な姿勢が見られます。「対話と実行」座談会の取り組み、土佐電鉄暴力団問題での毅然とした対応など、前県政以来の「県民に開かれた県政」という姿勢も堅持しています。

一方、学力テスト偏重や夜間短期大学の廃止には我が党は反対です。子どもの医療費無料化が全国平均の就学前にとどまっているなど、県民の暮らしの実態から見て不十分な点については改善されなければなりません。

(3)国政との関係では、自民党国会議員が誘致を主張しているオスプレイに対して安全性の懸念を表明し、徹底した対策を求め、結果的に飛来中止となっています。米軍機の低空飛行訓練に対しては、騒音測定器の設置を進めるとともに中止を求め続けています。

国が隠し続けたビキニ被害に対し、健康相談会を実施し、国に救済を要望しています。

TPPに「重大な懸念」を表明し、国益が守れない場合は交渉撤退を政府に要請しています。原発については「理想はゼロ」、「脱原発の方向性の堅持」として国のエネルギー基本計画を肯定せず、再稼働を進める四国電力に対しては、公開の場での勉強会を実施し、安全対策など県民の疑問、懸念の声を届けていることは評価できます。 また、南海トラフ地震特別措置法制定
過疎債のソフト事業適用、医療再生機構〔医師不足対策〕、中山間地の拠点づくり、学校統廃合を選択しない場合の指針、地域未来塾など、高知県の実態に基づいた取り組み・提案で国の制度に少なくない影響を与え、県民要求の実現で力を発揮してきました。

ただし、尾ア知事が戦争法(安保法制)について理解を示した点については、その危険性、違憲性をまったく見ない誤った見方であり容認できません。日本共産党は、戦争法廃止、立憲主義を取り戻す「国民連合政府」を樹立しようとの呼びかけを発表しました。その実現のために力をつくす決意です。

(4)日本共産党は戦争立法、TPP推進、社会保障の削減、消費税増税など国民の命と暮らしを脅かす暴走政治と今後とも正面から対決していきます。そうした国の悪政から県民を守る県政の役割はますます大きくなっていることを踏まえ今、求められる県政の姿を次のように考えています。

@一次産業を軸にし、地域の資源に光をあてた産業振興と雇用の場の拡大。
A安心できる地域社会の構築。医療・介護・福祉サービス、生活交通の充実。
B子どもの貧困の解消、子育て支援と少人数学級など教育条件の整備・充実。
C南海トラフ地震対策の抜本的な強化、平和で安全な県土づくり。原発からの撤退と自然エネルギーの促進。
D県民参加の県政を、公務の役割強化を土台に前進させる。
E国の施策に対し県民を守る立場で積極的に発言をする。

私たちは、これらの点に照らし、今回の知事選対応について時間をかけ慎重に検討してきました。この間、私たちは革新県民連合(革新・平和・躍動の高知をつくる県民連合)の構成団体の人達と県政評価について討議を積み重ねてきました。

また、幅広い方々から意見をお聞きし、党内外の少なくない方から貴重な意見が寄せられました。意見の多くは県政を全体として肯定的に評価する一方、憲法違反の戦争法に理解を示した知事の姿勢を厳しく批判するものでした。私たちは党内外の意見も踏まえ、総合的に判断し、県政を前進させ、切実な県民要求を前向きに打開するために今回の対応を決定しました。

(5)県政をいっそう前進させ、問題点を克服するためには、県民の世論と運動が決定的に重要です。日本共産党は、県民のみなさんと共同をさらに強め、全力をつくします。ご理解と、県政前進のために、ともに力をあわせてくださることを心からお願いします。(2015年10月25日 高知民報)