2015年10月18日

篠「連載 尾崎県政の2期8年」 ㉒ブレーキとアクセル 堅実な財政運営
 
9月補正予算を説明する尾﨑知事(9月18日)

財務官僚出身の尾﨑の下での県財政の運営はどうなっているのか。結論から言えば、南海トラフ地震対策など県民生活に欠かせないハード事業を大幅に進めながら、かつ同規模県よりも職員数を多く維持し、市町村にマンパワーを回すなどの支援をしたうえで、膨らんでいた県債残高を適切に減らしてきたという、非常に堅実で優れた運営をしていると評価することができる。

尾﨑は9月18日の定例記者会見で県債残高の今後の見通しについて発言した。

南海トラフ地震対策などのハード整備の影響で、平成12年のピーク時の7243億円から減少し続けてきた一般会計の県債残高(臨時対策債は除く)が、4800億円台で下げ止まっていることについては以下のように述べた。

「景気対策で国県の借金が大幅に増える以前の水準まで減った。今後はやや横ばい傾向になってくることが予想されるが、これは南海トラフ地震対策を展開したことを反映したもの。その先も増加に転ずるのではなく、漸減傾向を維持できる。警戒は必要だが、一定財政運営の見通しはたてられている」

県債残高は少なければ少ないほどよいというものではなく、今日の4800億円台から漸減傾向にあるという水準は高知県にとって適正なラインにあるといえる。

では、なぜ尾崎県政下でこのようなことが可能になったのだろうか。

①前橋本県政下で敷かれていたレールがあったということが、まずはいえるだろう。

橋本県政では全国より早く「ブレーキ」を踏み込み、人件費の削減なども先行的に取り組んできていたことから、尾崎県政下では、さほど苦労せずともその流れに乗ることが可能だった。 また、筋の通らない圧力で県政を曲げることを許さない「文化」も定着していたので、それらが後戻りすることなく、圧力を排し、公正で効率的な予算を組むことが可能になった。

②細かい政策提言や巧みな国の資金の導入などにより、県費負担が抑えられ、その分を県民サービスや市町村支援にふりわけることが可能になった。

県の一般会計当初予算は7年連続プラス予算でありながら、着実に県債残高を減らし続けてきたことは、国に細かい政策を打ち込みながら、いちはやくそれに乗るという尾崎県政の真骨頂が発揮されているともいえる。

「本県の財政運営は地方交付税制度に大きく影響される。引き続き積極的な政策提案を行いながら、アクセルとブレーキ的確に踏み分けることで健全な財政運営に取り組む」(尾崎知事)。財務官僚出身者ならではの堅実さを感じさせながら、消極的になるのではなく県民の声明財産を守る予算はしっかりつけるという基本姿勢は高く評価することができる。(N)(2015年10月18日 高知民報)