 ２０１５年８月２３日 |
||
| 「連載 尾﨑県政の２期８年」⑯ 勉強会で四電に影響力行使 |
||
５月２２日、県民文化ホール多目的室で開かれた高知県と四国電力の通算１４回目になる「勉強会」の席上、山下修・県新エネルギー推進課長が「県は脱原発をめざして依存度を徐々に引き下げていくべきと考えるが、四国電力はどう考えているのか。１号機、２号機はどうするのか」と発言する場面があった。 この質問は、同日の『高知新聞』朝刊に四国電力の次期社長に内定した佐伯勇人常務が「１、２、３号機を全て使うのが基本スタンスだ。１、２号機は主要機器も既に相当替えている。ただ安全対策は当然必要。延長を前提に対策工事のコストやその回収の検討を始めている」と、３号機のみならず、１、２号機も再稼働を目指して動いているという踏み込んだインタビューが掲載されたことを意識したものだった。 １、２号機は稼働開始から３８年、３４年が経過しており（３号機は２１年）、安倍政権下でも維持されている原則４０年経過した原発は廃炉していくという「４０年ルール」に照らせば、老朽化した１、２号機の再稼働のために膨大な設備投資することは現実的ではなく、四国電力にそのような体力はないことは、事情に詳しい関係者の間で語られており、佐伯常務のインタビューは多分に「建前」を語ったものと思われる。 しかし「１、２、３号機全てを使う」という佐伯常務の発言は、脱原発をめざす高知県にとっては看過できるものではない。「現時点では全機活用する方針。経済性、技術面など総合的に勘案して検討していくとしか言いいようがない」という木で鼻をくくったような四電側の回答に、大野靖紀・県林業振興環境部長は「もう少しフェーズアウト（段階的廃止）の各段階が、いつ頃のイメージなのかを示してほしい。１号機はもういいのではないか。全て延長していくというのは少し感覚的に違う」と、原発の依存度を下げる行程を示そうとしない四電側の姿勢に苛つきを隠さない場面もあった。 「勉強会」では、このような緊迫した議論が、報道機関や市民の眼前で繰り広げられている。通常は水面下にとどまりオープンになることのない県と電力会社の本音が、公開の場で交わされることで、県民の手が届く議論になり実質的に四電の方針に影響力を行使していくという側面を「勉強会」は持っているようにも見える。（Ｎ）（２０１５年８月２３日 高知民報） |
