|
講演する玉本英子さん
|
7月31日、県立高知大学・文化学部主催の公開講座が同大永国寺キャンパスで開かれ、シリア・イラクの取材体験があるアジア・プレスに所属するフリージャーナリスト・玉本英子さんが講演しました。玉本さんは、自ら取材した現地映像やISが公開した映像を用い、シリア・イラクの厳しい現実をレポート。ISをここまで拡大した要因となったイラク戦争を支持したのは日本であり、この惨状をまずは日本人は知るべきだと訴えました。
玉本さんは、シリアのクルド人支配地域におけるイスラム国(IS)との戦闘の最前線と現地に残っている市民の暮らしぶり、イラクの少数教徒ヤズディ派へのISによる弾圧による犠牲者、元IS戦闘員へのインタビューなどの取材体験を報告し、戦争は一度始まると終わらせることができなくなる現実、シリアでISが勢力を拡大していることなど、現地の厳しい現状を紹介しました。
■玉本さんの報告要旨
ISをここまで拡大させてしまったのはイラク戦争が原因。日本はイラク戦争を支持した。他人事ではない。
ISには少年兵が増えており、これまでとは様相が異なってきている。ここに自衛隊が出て行くことになれば、少年兵と闘う厳しい状況に置かれるだろう。
インタビューした元IS戦闘員(元建設労働者)は「今もISを信じている。他の宗教は認めない。カリフから命じられれば日本人を殺す」と答えた。
ISが、男性ヤズディ教徒にイスラム教への改宗を強要して、改宗しなければ処刑、女性は「強制結婚」という名のレイプの対象として拉致している。
イラクでISを支えてきたフセイン残党の離脱などの状況もあるが、シリアがきびしい。アサド政権による住民殺害がひどいので、ISを支持する住民も少なくない。若い人にIS支持がひろがっている。空爆をすればいいというものではない。空爆では一般市民が死ぬのでISへの支持が高まる。戦争は始まると止めることができなくなってしまう。現地を見て来た者として感じる。
シリアは本当に深刻だ。今はトルコ国境を封鎖して外国人兵士を入れないようにすることが重要。(2015年8月9日 高知民報) |