 ２０１５年８月２日 |
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| 「連載 尾﨑県政の２期８年」⑭ 安倍政権の批判できない限界 |
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これに先立つ６月１５日、高知市内のホテルで開かれた衆議院憲法審査会公聴会の一般県民の枠に県知事自らが「応募」までして、結果的に政権の解釈改憲による集団的自衛権行使をサポートする不可解な行動には、これまで尾﨑を支持してきた人達からも「そんな人だとは思わなかった」という声が出るなど、少なくない批判があがっている。 学生運動などとは無縁の世代である尾﨑にとって、安全保障という県民生活になじみのないテーマで、短期間にこれほどまでに急激に世論が変化し高揚することは予測の範囲を超えていたのだろう。県民のエネルギーを軽視していたように思える。 いくら安倍政権に「義理」があったからといっても、自らすすんで陳述人に「応募」してまで、火中の栗を拾いにいくような行為は通常は考えにくく、そこには尾﨑の政治的センスの乏しさを感じさせる。 これまでの尾﨑県政の政治姿勢は、なるべく敵を作らないことに腐心してきた。選挙で尾﨑を支持する母体では最大の影響力を持つのは自民党・公明党であるが、それだけでなく、民主党、社民党、労働組合である連合高知から部落解放同盟などと幅が広く、その支持母体の中で激しく意見が対立している今回の解釈改憲による集団的自衛権行使について、尾﨑が早々と安倍政権の解釈改憲を支持する姿勢を明確に打ち出した前のめりが、今日の事態を招いていると言える。 尾﨑がこの間、集団的自衛権行使が許容される条件として述べている発言は、「自衛目的に限る」などとしており、矛盾だらけではあるが、実際には有り得ない高いハードルを示し、他国への攻撃を日本への「急迫不正の侵害」と同義と見なす場合にも、連続的に連なる場合に限るとしており、実際には個別的自衛権の範囲に入るような議論をしているようにもみえる。これらは安倍政権がやろうとしている集団的自衛権行使とは温度差があるのも事実である。 にもかかわらず尾﨑は安倍政権が国会審議でも、実際にやると明言している（その想定に現実性はない）ペルシャ湾ホルムズ海峡の機雷掃海や、米軍の戦闘活動の後方支援という名の兵站を直視しようとしない。 尾﨑が言う、集団的自衛権行使の理由となる切迫性が、ホルムズ海峡の機雷封鎖にはないという当然のことを尾﨑は口にせず、「ホルムズ海峡だから十把一絡げでダメとか、いいとか言えない」などと逃げている（６月１９日の記者会見）。安倍政権への批判的言動だけは何としても避けるというのが、現在の尾﨑の限界と言える。 しかし、圧倒的な県民が、日本の将来を分ける重大問題として戦争法案の行方に関心を持ち、政府を批判している時に、それを逆撫でし、逆行する尾﨑の姿勢は、遠からず県民的な批判を受けることになるだろう。第一次産業を軸にした産業振興を、県民の声に耳を傾けながら進めるのが尾﨑県政の真骨頂であり、県民世論と別の方向を向いてしまっては、そのしっぺ返しは必ず来る。 ことは公務の原点である憲法に対する姿勢が厳しく問われている。県民の代表である知事が県民の声に寄り添わなければ、県政に未来はない。（Ｎ）（２０１５年８月２日 高知民報） |
