2015年7月12日

伊方650ガル基準 サイエンスへの冒涜 岡村眞高知大特認教授
 
岡村眞・高知大特認教授
日本の地震学の権威である岡村眞・高知大学総合研究センター特任教授が7月4日、伊方原発の再稼動の危険性について縦横に語りました。岡村教授は、地震学が解明しているのは僅かでしかなく経験していないことが発生するのは当たり前であること、中央構造線から6キロメートルしか離れていない伊方原発では、少なくとも1000ガル以上の基準地震動を想定すべきと強調しました(現状では650ガル)。

会場の県立大学永国寺新キャンパスの教室は70人を越える聴衆で満員に。岡村教授は自ら訪問している福島県の原発事故現場付近の放射線量の高さを報告して、原発事故の深刻さを改めて強調。基準地震動を650ガルに設定し「安全審査」をクリアした伊方3号機の再稼動へと向かう四国電力と政府の姿勢に「サイエンスへの冒涜。自然の前にもっと謙虚でなければならない」と警告しました。

また岡村教授は、他の電力会社では1000ガルを大きく越えて設定(浜岡4号は1200〜2000ガル)されている基準地震動が、伊方の場合は中央構造線という巨大な断層が480キロメートルにもわたって動くことを前提にしながら650ガルに止まっていることの不可解さを指摘。

伊方原発は建設当時は375ガル対応で作られため、これ以上補強では耐震強度を上げることが難しいことが背景にあるのではないかとし、このような基準の審査のままで再稼働することは許されないことを強調しました。

また、岡村教授の最近の調査では、これまで明らかになっていなかった2000年程度前に九州全域を襲うような超巨大津波が発生したことを証明する調査の結果が出ていることを紹介して、「科学に分かってないことはいくらでもある。最近100年くらいの知識で原発をつくってきたが、これで本当にいいのかということが今問われている」と述べました。(N)(2015年7月12日 高知民報)