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6月15日、旭ロイヤルホテル(高知市) |
広く国民から憲法改定について意見を聴取することを目的にした衆議院憲法調査会(保岡興治団長)高知地方公聴会が6月15日、高知市の旭ロイヤルホテルで開催され、6人の陳述人が意見陳述。うち5人が国会で審議中の安保法案の違憲性を指摘し、解釈改憲により戦争ができる国へと「国のかたち」を強引に変えようとする政権の姿勢を許さない広範な国民の声が反映する場になりました。
陳述人は土倉啓介(自営業者)、竹田昭子(主婦)、岡田健一郎(高知大学准教授)、筒井敬二(高知自治労連委員長)、尾ア正直(高知県知事)、佐野円(翻訳者)の各氏。
陳述人の発言と調査委員(衆議院議員)からの質問に答える中で、今国会で審議中の安保法案の違憲性についての議論が交わされ、6人中、「一定容認できる」とした尾ア陳述人以外の5人は安保法案は違憲であると主張しました。
土倉陳述人は、改憲派で集団的自衛権を積極的に行使する立場から「後方支援をすれば武力行使をする敵国とみなされて攻撃対象になる」と指摘。「憲法解釈の変更は迂遠な手法で、弥縫策(びほうさく)を講じているとしか思えない」と明文改憲を主張し、今国会の安保法案は違憲であるとしました。
土倉陳述人以外の発言内容を紹介します。
竹田陳述人 憲法を守らなくてはならない権力者が都合よく変えてはならない。憲法を法律に合わせると立憲主義を破壊するようなことを言った大臣、憲法は最高法規だと知って下さい。
岡田陳述人 集団的自衛権を行使する憲法解釈変更は違憲、撤回すべき。政権が明文改憲すべき変更を解釈で済ませることは国民の憲法決定権を奪うものであり許されない。このような解釈改憲が許されるならどんな条文もいかようにも解釈でき徴兵制も可能になる。
筒井陳述人 憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認には率直な疑問と不安がある。9条の容認する範囲を超え、立憲主義の根幹が揺らぐ。憲法を国民の手にするには、まずは憲法を知り、知らせることが大切だ。
尾崎陳述人 南海トラフ地震など大災害時に国会が機能しない場合の対応に現憲法には不安があり、国会議員の任期などの特例、災害時の意本的人権の制限を憲法に規定する必要がある。
(安保法案は)自衛に限るべきだが、急迫不正の侵害については科学の発展など実情も踏まえ、解釈の変更は一定容認されるべき。諸外国に対する攻撃でも、ほぼ連鎖して我が国への急迫不正の侵害になりうるものであれば、急迫不正と同義であり一定容認される。
佐野陳述人 憲法審査会参考人質疑で3人の憲法学者が安保法案を違憲とした。驚くのはその後も合憲と言う政府。多くの憲法学者が支持しない法解釈に国民がどうして納得できるのか。(2015年6月28日 高知民報) |