２０１５年６月２１日

「連載　尾�ｱ県政の２期８年」�G　「苦い薬」消費税増を支持

尾�ｱの消費税増税への態度を総じて言えば１期目は「慎重」、２期目は「支持・容認」になるといえる。 １期目まもなくの２００８年７月３０日の定例会見では、消費税増税について尾�ｱは以下のように述べた。 「私も財務省におりましたので、本当に思いますけども、消費税本体の税率を上げるか上げないかという問題について本当に真剣な議論が必要」、「そんな簡単に軽々にやる、やらないなんて言えるものではない。正直なところ、財務省にいてこういう問題に触れてきた者としての心からの実感。そんなに簡単に言える問題ではない」 税の「重さ」を肌身で知る者として、慎重な議論の必要性を説き、国民生活への負担と反発する世論の大きさに配慮していることが読み取れる。 この後、民主党政権下で増税準備が進み、政権交代と衆参「捻れ」解消を経て、安倍晋三首相は１３年１０月１日に１４年４月１日からの税率８％への引き上げを表明する。 １３年１０月１日、ちょうど安倍首相が税率引き上げを「決断」する会見の直前の県議会本会議で、浜田英宏議員（自民）の消費税増税への態度を問う質問に答え、２期目を折り返した尾�ｱは以下のような答弁をした。 「少子高齢化など社会情勢の変化に対し、しっかりと財源に裏打ちされた持続可能な社会保障制度を確立するためにも、仮に増税をしなかった場合に想定される市場の混乱や国債格下げなどの金融リスクを考慮しても、来年４月から８％に引き上げる必要がある。全国に先行して少子高齢化が進んでいる本県にとっても、しっかりした社会保障制度改革が確立されるという点、若い人の暮らしを支える点で、飲まざるを得ない苦い薬だ」 「苦い薬」という表現を使いながら、８％への引き上げを「容認」の域を超え、「支持」まで踏み込んだ発言だった。 尾�ｱはこれ以降１０％への引き上げについても同様のスタンスを崩していない。むろん消費税率は国レベルの政策であり、知事があれこれ発言したからと大勢に影響があるものではないだろうし、増税法案が国会で成立した後に一知事が異を唱えることは現実問題としてありえない。 同時に、所得が全国でも最も低い水準にある高知県に消費税増税のダメージは極めて重く、尾�ｱ県政が全力をあげる産業振興の足枷、ブレーキになるという現実がある。 消費税増税への尾�ｱの認識は、県民の願いとは距離があると言わねばならない。（Ｎ）（２０１５年６月２１日　高知民報）