 ２０１５年６月１４日 |
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| 「連載 尾﨑県政の２期８年」⑦ 「アベノミクスに期待する矛盾」 |
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しかし、同年１１月に尾﨑が高知県知事になったのと時を同じくして、「頼み」の自民党の凋落が止まらなくなる。 福田・麻生政権を経て、２００９年９月には自民・公明政権が倒れて、鳩山民主党が政権交代を成し遂げ国政は激動していく。 高知県のような人口の少ない小県の県民生活の有り様、産業振興の行方は、国政レベルの政策とダイレクトに結びつき、規定される要素が大きい。 にもかかわらず、尾﨑にすれば思いがけない自民党の下野により、得意とする自民党政治家や霞ヶ関官僚との人脈を生かした立ち回りが断たれ、思うように事が運ばなかったであろうことは想像に難くない。 民主党政権のガソリン暫定税率廃止や全国学テの悉皆調査廃止などには、「地方の声が国の政策決定に反映されていない」と苛つきすら見せていた。 そして、尾﨑県政２期目から１年が過ぎた２０１２年１２月の解散総選挙で民主党が惨敗。政権から引きずり下ろされ、自民党が政権復帰し、第二次安倍政権が誕生する。 ようやく民主党政権時代に発揮できなかった人脈を駆使することができるようになり、尾﨑にすれば「春到来」という感じだろう。安倍政権の政策を歓迎し、政権批判につながる言動は、慎むよう配慮するというのが尾﨑県政２期目の特徴になっている。 これが端的に表れたのが、安倍政権の経済政策の目玉「アベノミクス」についての発言だった。１３年１月２５日の記者会見で尾﨑は、「３本の矢には非常に期待する」、「理にかなっている」と絶賛ともいえる口ぶりで「アベノミクス」を高く評価した。 しかし、金融緩和、円安、成長戦略を柱とする「アベノミクス」は、県民生活の向上につながるどころか、一層県民生活を苦しめ格差を拡大させるものでしかない。 とりわけ「成長戦略」は、尾﨑はもちろん、自民党県連、さらに圧倒的な農林漁業関係者、消費者団体なども反対するＴＰＰを前提に進めるものであり、尾﨑が何より全力をあげている県民生活向上と産業振興に冷水を浴びせ、逆行させるという重大な矛盾を抱えている。 自民党に政権に戻り、県議会でも自民党が単独過半数を占めるという現実の中で、第一次安倍内閣官邸スタッフ出身の尾﨑が政権批判につながる発言をするはずがないのはある意味当然だが、これが尾﨑が愚直なまでに推し進めている県民生活向上と産業振興と乖離してまうというのは何とも皮肉である。 県民生活向上と自民党政権との間で揺れ動く尾﨑の二面性は、特に国政にかかわる重要課題で２期目の尾﨑県政をみていくポイントとなる。（Ｎ）（２０１５年６月１４日 高知民報） |
