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14回目になった高知県と四国電力の勉強会(5月22日)
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伊方原発の安全性について高知県と四国電力が続けている勉強会が5月22日、高知市の県民文化ホール内で開かれ、原子力規制委員会の審査を概ね通過した伊方3号機の基準地震動(水平方向650ガルなど)の策定の根拠や、安全策の補正申請の内容について四電側が県に説明しました。勉強会は14回目、今年2月以来の開催で、四国電力=広報部エネルギー広報グループリーダー・奥田昌三氏、原子力部耐震設計担当リーダーの梅本明氏ら、県=大野靖紀・林業振興環境部長、山下修・新エネルギー推進課長らが出席しました。
四電からは650ガルの基準地震動に加え、新たにこれを超える揺れがあった北海道留萌市庁南部地震の波形も加味して設計することで審査をクリアしたという説明がありました。
県側からは、「高知県としては将来的には脱原発をめざしていくべきだと考えており、四電も原発に頼らないスキームを持つべきではないか」という立場からの質疑もありましたが、四電側は「電源のベストミックス」を前提に原発を将来的にも維持し続ける立場の回答に終始し、両者の認識にはズレが見られました。
高知県からの質問要旨
@2次冷却水配管は事故時に重要なのに耐震Cクラスだが大丈夫か。
A過去には2000ガルを超えた例があるがどう考えるのか。
B事故時に汚染された排水が外に出ない対策はあるのか。
C原発がなくても電気は足りているし、四電は黒字。再稼働の必要があるのか。
D原子力に代わる電源への転換も進めるべき。
E運転からまもなく40年になる1号機まで再稼働するつもりか。
四電側の回答要旨
@事故時に炉心を冷却するラインはSクラス。
Aよく揺れる地域で、地震計もよく揺れる建屋に置かれていた。同じ揺れが伊方に来た場合は、また違ってくる。
B格納容器から汚染水は外に出ない考え方。万が一外に出れば原子炉建屋の周囲の堀に貯めるが、一杯になれば海に出る。放射能吸着材を使うがゼロにはならない。
C火力発電所を総動員し、定期点検を繰り延べしてまかなっている。ベストミックスでないと安定供給や経済性に課題があり、3号機の再稼働が1カ月遅れると40、50億円のコストがかかる。炭酸ガスも出る。
D新たな事業に乗り出すには多額の投資が必要。まず伊方3号機を再稼働して、電力自由化の動向をみていく。
E1号機をどうするかの答えを持っていない。3号機で手一杯で分からない。明言できない。(2015年5月31日 高知民報) |