2015年5月3日

江の口養護 将来像を検討 発達障害受け皿拡大の機会に
慢性疾患など病弱な児童生徒を対象にした特別支援学校として設置された高知県立高知江の口養護学校本校(高知市新本町)の将来像を有識者らが議論して県教育委員会に意見を上申する「高知県における特別支援学校の再編振興に関する検討委員会(第二次)」の第1回目の会議が4月23日、高知市内で開かれました。県教委は同委員会を10月頃までに6回ほど開き意見をまとめて、年度内には具体化に入る方針。

是永かな子・高知大学准教授を会長に選出後、川村泰夫・特別支援教育課長が、病弱児よりも発達障害を伴った心身症などを持つ生活規制のない児童生徒の割合が大きく増加し、病弱児との割合が逆転している同校の実態を報告しました。

今後の検討課題としては、児童生徒の実態から必要とされるグラウンドなどの学校施設・設備、発達障害教育のセンター的機能、通常学校や地域との交流を推進するインクルーシブ教育の構築にふさわしい学校のあり方などが事務局側から提示されました。

是永会長以外の委員は以下(敬称略)。川崎育郎(県立大名誉教授)、吉岡知子(高知医療センター精神科医長)、阿部孝典(高知赤十字病院小児科部長)、濱川博子(スクールカウンセラー)、森岡學(スクールカウンセラー)、今城圭(サニーマート)、大野吉彦(南国市教育長)、田村雅之(県小中PTA連合会長)、生永慎一(県高PTA連合会長)、吉村洋二(高知山田養護校長)、川村靖(県心の教育センター所長)。

検討委員に同校保護者が入っていない理由については「保護者側から学校を背負って意見を言うのは負担が重いという声もあり、幅広い観点の意見を集約するため、今回は見送った」(特別支援教育課)としています。

解説 今回の検討にあたって生徒の実態の変化という同校の内的要因とともに、隣接する高知赤十字病院の移転にともない環境が激変し、進入路確保の不透明さなど、移転を考えざるをえない外的要因が生じている点も見逃せません。

中沢卓史・前教育長時代は「必ずしも病院の隣でなくてはならないわけでもなく、(知的学校との複合などを)まったく考えないわけではない」などの発言もあり、新たな土地取得や移転を含めた施設の再整備など、現在通学する児童生徒に不安を与えないよう留意しながらも、高知市中心部に不足する発達障害や知的障害児童生徒の受け皿拡大にむけ、県下の特別支援教育のあり方を捉え直す機会になりうるものといえます。(N) (2015年5月3日 高知民報)