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深々と頭を下げて謝罪する東洋ゴム工業幹部(3月17日、高知県庁) |
東洋ゴム工業による建造物の免震装置に使われる免震ゴムの虚偽認定・性能偽装に、高知県庁と県警が「揺れて」いる。問題のゴムが県内行政関係で使われたのは県庁本庁舎(72基)、安芸総合庁舎(24基)、高知東警察署(32基)、新南国警察署(28基、建設中だが免震装置は施工済)。この他に民間マンションでも使われている。
3月17日午前には、県庁を東洋ゴム役員が訪れ「担当者がデータを改ざんする不正があった。深くお詫びする」と謝罪したが、誰しも感じるのは「どうして?」ということだろう。東洋ゴムの説明では、担当者個人の問題であるような発言があったが、果たしてそうだろうか。担当者が、そんな大それたことをしなければならないメリットがない。
担当者に営業側からデータを改ざんするよう圧力があったという報道もあった。まるでテレビの経済ドラマのような展開であるが、事実であれば大変なことである。
■存在しない「認定」
東洋ゴム側の説明によると今回の不正は2点。@大臣認定を得ていた製品を出荷する際に、実際には性能が劣る「不良品」を検査のデータを偽って出荷した、A大臣認定を得る際に虚偽のデータを申告したというもの。
高知県に関係しているのはどちらなのか。東洋ゴム側の説明が恣意的に分かりにくくされていることもあり、一部報道などでは@に該当しているかのような認識があるが、実態はさらに深刻である。
東洋ゴムの資料には@が「55物件2045基」とあり、Aは別項目に書かれ、今回問題になっているのが@であるようにみえるが、@とAの認定番号は大半が共通だ。
MVBR−0317、0343、0438は「不良品」を出荷したことが問題であること以前に、大臣認定そのものが虚偽であり存在しなかった。@19物件、A36物件と書くのが正しい。
高知県関係の建物が使っているゴムの認定番号を県建築課に確認した。 県庁本庁舎・安芸総合庁舎・東警察署は0343、新南国警察署が0438が使用されていた。
すべて虚偽の大臣認定が取り消された認定番号に該当する。つまり「不良品」云々の前に即時違法建築となってしまっているのだ。
前述した17日の県への説明の場で部品交換を求められた東洋ゴム役員は、「現時点で同社には交換できる製品はなく、対応することができない」と言葉を濁した。「認定をクリアする性能の製品を、東洋ゴムはそもそも作ることができていなかったのではないかと考えざるを得ない」(県土木部関係者)。(つづく) (2015年3月29日 高知民報) |