2015年3月1日

伊方原発 650ガル超える揺れを想定 四電・高知県勉強会
 
黒線が650ガル相当の基準地震動。青線の鳥取県西部地震の波形をシミュレートした場合、周期の短い構造物の揺れを示すグラフ左側では基準地震動を大きく超える値が想定されている
伊方原発の安全性について高知県と四国電力が続けている勉強会が2月20日、高知市の高知城ホールで開かれ、原子力規制委員会で昨年末に承認された伊方3号機の基準地震動(水平方向650ガル)の策定根拠について四電側が説明しました。この中では応答スペクトルを用いた評価(Ss−1)で基準地震動を超える揺れが一部想定されていることが示されました。

勉強会は今回で13回目、昨年5月以来の開催で、四電側から原子力部耐震設計担当リーダーの梅本明氏ら、県側は大野靖紀・林業振興環境部長、塚本愛子・新エネルギー推進課長らが出席。

四電から650ガルの基準地震動の策定プロセスについて説明があり、「地震を起こす断層の長さを以前は54キロメートルにしていたが、今回は480キロメートルをベースにしている。不確定な要素を加え、より安全性に保守的な考え方で策定した」と述べました。

一方で四電が示したデータには、2000年鳥取県西部地震の波形を入力した応答スペクトルで、鉛直方向の周期の短い構造物の揺れが、基準地震動を大きく超えるデータが出るなど650ガルという基準地震動の設定に疑問を抱かせるような数値が示されたことから、県側から「基準地震動は安全対策の基本になるものであり、策定の根拠をもっと分かるように説明してもらいたい」と注文がつく場面も。

四電側は「周期の短い構造物には重要なものが多いので、固定ボルトを増やすなどして対応する」と回答。

勉強会終了後に650ガルという数値は甘いのではないかという取材に対して梅本リーダーが「そこは議論が分かれるところだが、裕度は下がることになる」と回答しました。(2015年3月1日 高知民報)