2014年9月7日

都会目線で地方論じるな 尾崎正直高知県知事
 
会見に臨む尾ア知事
8月26日、尾崎正直・高知県知事が定例会見で行った土砂災害警戒区域の指定、安倍内閣の「まち・ひと・しごと創生本部」についての発言を紹介します。

土砂災害

尾崎知事 県内には危険箇所が現在18112箇所ある。そのうち土砂災害警戒区域に指定済みの箇所は6645箇所で36・7%の指定率になっている状況。

警戒区域の指定のスピードアップをはかろうと、25年度から従前は年間500箇所の指定だったのを1000箇所にスピードアップして指定を重ねてきたところだが、今回のようなこともあるので、28年度からは、これを2000箇所にできるように、さらにスピードアップをはかりたいと考えている。

ただ、警戒区域指定前の土砂災害危険箇所についても、さらなる周知をはかっていくことが大事だ。指定されていなくても、危険箇所なのだということを多くのみなさんに知っておいてもらい、予め警戒心を持ってもらうことが極めて重要だ。

学習会などを通じ、危険箇所のマップを周知するなどの対応を徹底する。警戒区域に指定されていなくても土砂災害危険箇所でるあることが分かっていれば、詳細には分かっていなくても、 やはり危険があるぞと思うべきであって、それを住民にも伝え、市町村・県としても把握していくのが大事だ。

急激に降雨量が増えるゲリラ豪雨の怖さを今回改めて感じた。都市部を流れる中小河川が急激に増水することがおきている。そもそも水を飲み込む容量が少ない上に、越水した時には周囲にたくさんの人がいる。こういう河川への注意をもう一段高めていく必要がある。早め早めの注意喚起を心がけてきたが、急激に極めてきびしい状況になるのが今の日本の気象。今後もこのようなこことは起こりうると身を引き締めている。

安倍政権の地域再生

尾崎知事 「まち・ひと・しごと創生本部」には大変期待している。地方の振興に力を入れてもらうことはありがたい。地方の活力再生と人口減少、少子化を表裏一体のものとして捉えようとしている点において画期的で本質的だが、非常に難しい問題なので、しっかり地域の実情も踏まえてもらい、本格的な対策に期待したい。

都会目線で地方を論じないでもらいたい。とつくづく思っている。地方の拠点都市構想のようなものが出てきているが、高知県で若者の人口流出を防止するために、高知市があればいいみたいな発想は大間違いだ。全国知事会の場でもその点は言ってきた。

中山間の地域地域に若者がいないと、日本全体では農業の4割が消滅することに繋がる。高知市と周辺部以外の場所で農業の7割が営まれている。農業の担い手が確保され続けなければ、県庁所在地のみに若者が残ればいいんだみたいな発想では困る。中山間地域に若者を残せる地域再生であってほしい。

企業経営と地域の再生は根本的に違う。企業であれば得意な分野に選択と集中すればよいという議論によくなるが、高知県が得意分野であるカツオでいけばいいと決めて成り立つわけがない。多様な人の多様なニーズに応えられてこその地域再生だ。

トピックスだけをとらまえた議論ではなく、全体としての多様なニーズに応えられる大きな仕組みを論じてもらいたい。(2014年9月7日 高知民報)