2014年8月31日

大規模地滑り 長期化の恐れ 高知市鏡的渕
 
大規模崩壊が発生している鏡的渕
台風12号による豪雨の影響による大規模な地滑りの危険により、高知市鏡的渕地区の小塩団地(12世帯34人)に高知市が避難指示を発令している問題で、県による危険を回避する対策工事の完了までには長期間を要する可能性が出てきていることから、被災住民からは、いつまで続くか分からない避難生活に「限界だ」という悲痛な声が出ています。被災住民の立場に立った避難住宅の確保をはじめとした迅速な支援活動が急務です。

8月3日に降った豪雨により的渕川をはさんだ団地対岸の山腹が崩壊。幅約120メートルにわたって地表に亀裂が入り地滑りの兆候が発生しています。

これ以上に崩れが進行した場合には土砂に人家が巻き込まれる危険があることから、高知市は避難勧告、さらに避難指示(8月7日から)を出し、団地内への立ち入りを禁じています。避難指示の解除は、県が地滑りの状態を調査し、対策を講じて安全性が確認されるまではできない見込み。

避難勧告から2週間以上が経過した19日、同市鏡構造改善センターで県・市合同の住民説明会が開かれ、土砂崩壊の現状、避難者の生活支援について意見交換が行われました。

県土木部防災砂防課は地滑りの動きを計測して斜面の安定が確認された後、ボーリングで地中の状態を調べ地下水を抜く応急工事を施工。その上で本格的な地滑り対策にとりかかるスケジュールを示し、「住民のみなさんには、応急工事の完了時には家に戻れるようにしたい」と述べたものの、具体的な時期は示されず、長期化する可能性も否定されませんでした。

説明会で住民の不満が噴出したのは、避難住宅など避難者の生活を支援する高知市からの情報の乏しさと動きの緩慢さでした。説明会の場には市側から避難先となる市営住宅などの選択肢や、住民の費用負担など、最も知りたい情報が示されず、「いつまで続くか分からない避難生活は限界にきているが、市に選択肢を示してもらわなければ我々から要望の出しようがない」、「家族が離ればなれになっている。もっとスピード感を持って動いてほしい。2週間以上経つが何も動きがない」、「早く動くために民間アパートの一括借り上げを検討してほしい」などの要求が出され、その後、住民に突き上げられる形で吉岡章副市長が担当する部課を横断した対策が動き始めました。

避難生活を続けている61歳の女性の話 「毎日、夜は高知市内の親戚の家に寝にいっているが、この状態がいつまで続くか分からず親戚も大変です。早く避難住宅の情報がほしい」。(2014年8月31日 高知民報)