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(上)学生らに講演する福井衆議院議員
(下)学生支援課が発行した学生に参加を動員する文書 |
国立・高知大学は6月25日、高知市曙町の同大構内で福井照・自民党衆院議員(元文部科学副大臣、高知1区)の講演会を開催。同学生支援課(池本強課長)が学生自治会、サークル(文化会・体育会)、同好会、学生寮などの学生組織に参加を割り当て動員しました。講演は「心の自由民権」、「人生主義」など福井議員の特異な世界観を開陳する「独演会」で、参加させられた学生からは「まったく意味が分からなかった」という声が聞かれました。
講演会に先立ち脇口宏学長が「福井先生は非常に情熱的で熱い方。基礎研究は社会を意識しなくてもよいが、教育は社会を意識せずにありえない。今、政治家をはじめ社会から大学のあり方に注文が出ている。今日の話を胸にとめて、これからの学びに生かしてもらいたい」とあいさつ。
福井議員は「国家の目的は国民を一人残らず腹一杯食わせることだが、今の日本はメタボでお腹一杯。次の国家の目的は心を幸せで満たす人生主義=心の自由民権だ」などという持論を繰り返し、過疎高齢化や地震対策の話題に入りかけては、「神が時代に埋め込んだメタファーを読み解け」、「世界は高速(光速?)で回転している」、「138億年のビッグヒストリー」、「宇宙は平面」など特異な「世界観」が脈絡なく飛び出しました。
閉会あいさつで深見公雄・同大理事から「政治家は宗教の教祖だということが分かった」という、本気ともジョークともとれる発言があるなど、学生の研修とはまるで異質なものでした。
ただ、当初から福井議員がこのような話をすることは予想されたことであり、問題は同議員を講師に招くことを意思決定した大学当局の判断と、同大学生支援課による事実上の強制力を働かせた学生への参加の押し付け。特定党派の政治家の講演であれば、扱いは慎重かつ抑制的でなければならず、間違っても大学当局が押し付けるような行為は慎むのは常識です。
この講演会は大学当局が学生向けに開く「リーダーシップ研修」と位置付けられており、学生支援課が各学生宛て、また学生団体には「2名必ず参加」という通知文やメールを使い執拗に参加を要請。講演会場入口には参加学生に記入させる受付名簿が置かれ、出欠をチェックしていました。
同講演会に参加した男子4年生は「リーダーシップ研修には有無を言わさずサークルの代表は出なければならないことになっている。何度もメールが来たので出席していないサークルはないはず」。
研修目的などを聞くため同大学生支援課に取材を申し入れましたが、池本課長は取材には応じず電話で「他意はなく説明することはない。あなたたちと活動している学生に聞けばよい。教員がやらないから、私たちがこのようなことをやっている。学生には話を聞いてもらいたいので出席を要請した。参加を強制したというが、解釈の違いだ」などと発言しました。(2014年8月10日 高知民報) |