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参加者との討論に参加する森大臣 |
内閣府主催「輝く女性応援会議in高知」が7月24日、高知市の男女共同参画センター・ソーレを会場に開かれ、森雅子・「女性活力・少子化担当大臣」が来高。安倍政権が掲げる「ウィメノミクス」を説明し、県内各層の女性や企業経営者から女性の働きやすい社会づくりへの課題について報告がありました。大臣が直接地域の女性の声に耳を傾けることへの評価と共に、女性の社会参画を経済成長の手段とする捉え方、旧態依然とした男女役割分担を前提にした問題意識を疑問視する反応もありました。
同会議の開催は高知県が全国初で、開会にあたり尾ア正直知事は「高知県は女性の有業者率、管理職比率は全国一だが、経済状況の厳しさの中で働かざる得ない状況があり、管理職も2割に過ぎない。やらなければならないことはまだまだ多い」とあいさつしました。
森大臣は地方で使える少子化交付金の創設や育児休業給付金の増額など国の取り組みを自賛し、「ウィメノミクスは安倍内閣の成長戦略の中核。この問題は長らく人権問題、社会政策として語られてきたが、今や女性の活躍が一国の経済を助ける。働きたくても働けない315万人の女性は我が国最大の潜在力だ」などと女性の労働力活用が経済成長の要であることを強調しました。
県内の女性を代表して鈴木佐知代(製紙会社経営者)、小林美輪(被災地支援活動に取り組む大学生)、安岡しずか(訪問看護師)、上田知子(農家民宿オーナー)、井上真由美(専業主婦)の各氏が、さらに県立大学長、高知商工会議所会頭、県社会福祉協議会事務局長、不動産会社代表取締役らから、「多くの女性が働く介護職員の賃金向上が必要」、「リーダー研修になると女性の参加が減る」、「会社内で出産スケジュールを話し合い産休をとっている」などの報告がありました。
解説 今回の会議での県内各分野からの発言には貴重な教訓が含まれており、これらを政府に直接届けたことに意味は大きいものがありますが、森大臣の発言は「ウィメノミクス」の自画自賛に止まり、「応援会議」という表現に象徴される男女共同参画社会を前進させていく国の責任の自覚の希薄さ、さらには貧弱な支援策しか用意されていないシングルマザー増加や、産休育休とは無縁の非正規労働の蔓延など、多くの女性が置かれている厳しい実態の本質を棚上げした、権利保障の観点を欠如させた底の浅い「成長戦略」では、女性を「使い勝手のよい安価な労働力」として見ることにしかならず、真に女性が輝く社会とは異質な方向に向かわざるをえません。(N)(2014年8月3日 高知民報) |