2014年8月3日

コラムアンテナ「校名問題が急浮上」
 
発言する西高PTA関係者
高知県立高知南中高校と高知西高校の統合問題についての議論が精力的に続けられているが、ここにきて統合新校の校名問題がクローズアップされ、にわかに議論が活発化してきた。

これは、南中高関係者が統合には反対であるが、どうしても避けられないというのであれば統合にふさわしく、新しい高校として校名や校歌を変更してほしいという強い要望を提起したことが発端になっている。

7月22日の県教育委員会との協議の場で南関係者からは「校名変更を確約してほしい」、「南は学校がなくなる。この痛みが分かっているのか」、「校名を変えないのは南への侮辱だ」などの強い意見が出された。南関係者にすれば何を言っても統合されてしまうというのであれば、ここだけは譲れない線なのだろう。

田村壮児教育長は「校名に強い思いを持たれていることは承知しているが副次的な問題。統合後の校名をどうするかは、統合の方針が決まった後に両者で話し合ってもらう。今は変えるとも変えないとも言えない」と述べた。確かに田村教育長の言うのは筋であり、校名問題は副次的で多分に感傷的なものなのかもしれない
が、感情が物事を決める時の大きなファクターになるというのもまた事実である。市町村合併でも合併後の名称は大問題になるし、昨年統合した高知市立追手前小と新堀小も、新堀小のあった場所に新校舎はできたが、新しく「はりまや橋小」としてスタートしたように、少なくとも「統合」と言うからには、校名変更の可能性はあるというのはその通りだと思う。

これまで西高側の受け止めは「来るならどうぞという感覚、気楽なものだった」が、ここにきて校名問題がクローズアップされ、「校名を変えないということでなければ、この話は飲めない」(7月24日の教育委員協議会での同PTA会長の発言)など、態度を硬化させている。

西高側にすれば、この受け止めは当然で、県教委はこれまで「統合」とは言いながらも、実態的には限りなく南の廃校、西は現状維持に加えた充実(中学併設やバカロレア構想が西にとって良いこととは思われないが)させることを既定路線のように言ってきたために、西高関係者にすれば、校名変更の可能性など寝耳に水。到底受け入れられるものではない。

西高側に「現状とは変わらない」と思わせるような話をしてきた県教委の責任は重大だが、ある意味、これでようやく本当の意味の「統合」の論議がスタートしたとも言える。

これを機に南・西関係者双方が、納得するまでじっくり話し合いをしていかなければならない。議論は始まったばかりである。8月中旬には案をまとめ、後半にパブリックコメント実施、9月議会で意思決定して議論を打ち切ろうなどというのは論外だ。(N)(2014年8月3日 高知民報)