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発言中に涙ぐむ南高関係者 |
高知県立高知南高校・同中学校の事実上廃校、高知西高校に新中学校を併設し、同英語科を国際バカロレア資格取得めざす国際グローバル学科へ改編する計画をすすめている県教育委員会は6月17日、高知会館で第6回教育委員協議会を開き、高知南高PTA・同校友会関係者などから2度目の意見聴取をしたが、関係者からは「意見をいくら出しても全然変える姿勢がない」など県教委の結論ありきの姿勢への批判が続出。納得とはほど遠い状況が改めて示された。
教育行政は、保護者や地域の納得、合意を得て進めることが、他の行政課題に増して重要であることは論を待たない。県教委が示す案がいかに「正しく」ても、関係者の声を吸い上げ、練り上げていく姿勢が大切であることは当然だ。
だが、県教委のこの問題への対応は、「案」とは言いながら実際には既定路線で押し切るつもりであることは疑いようがなく、関係者からの意見聴取も「アリバイ作り」の感は否めない。
疑問にも紋切り型の硬直した回答を繰り返すばかりで、納得を得るため歩み寄る姿勢は感じられなかった。これではPTA関係者が不信感を抱くのも無理はない。
この日、田村壮児・教育長は次回までに保護者らの意見を一定取り入れた代案を示すことを検討すると回答。これまでのまったく硬直した姿勢から、強い批判に押され軟化したようにも見えたが、これまでの延長線上の話では納得を得る案を示すことは難しいだろう。
これまで意見聴取で出されている南関係者以外の主な意見は以下の様なものだ。
高知西高PTA=濱田幾久子会長 「南の生徒や保護者に納得してもらえる
案を出してほしい。それからの話だ」
県小中学校校長会=西尾洋之会長 「南は最も新しい高校で、これから成果が期待されるだけに唐突感があるとの声もある。学校関係者や地域の理解を得る最大限の努力を願う。慎重なすすめ方を期待したい」
県高等学校PTA連合会=生永慎一会長 「何とか納得できる案を考えて理解を得る解決策をお願いする。保護者・地域に十分説明をしてほしい。納得して再編しなければ後々しこりが残る」
このように、一様に県教委の結論ありき、前のめりの姿勢を懸念して諫めるニュアンスが共通していたのが印象的だった。さらに32万市民の総意として高知市議会が「白紙撤回」を決議していることも重い事実としてある。
ここまでの状況になってなお、強引にスケジュールありきですすめなけばならない理由が見えてこないし、その必要性もない。高知県のこれからの高校のあり方を、この機に、じっくり県民的に話し合う機会にすべきだ。強権的なゴリ押しは、教育とは対極にある。県教委は、勇気を持って仕切り直しする時ではないだろうか。(N)(2014年6月29日 高知民報) |