2014年6月29日

ボイス「憲法9条がまるで無いが如き状態」 小林節・慶大名誉教授
 
小林節・慶大名誉教授
僕は安倍内閣には怒りまくってます。(略)今、日本国で起きている状況を一言で言うと、日本国憲法9条がまるで無いが如き状態の中で、自民党と公明党が向かい合って、何か商売事の交渉みたいに、「ここまでよこせ」、「いやいや」、「いやだったら相手変えるぜ」ってばかげた議論、本当に僕びっくりしているんですけど、日本国憲法9条はないという前提。

産経新聞や読売新聞は「政府の安保法制懇」と言うが、あれは「おバカな安倍ちゃんの家庭教師集団」なんですね。私的懇談会です。

(安保法制懇報告の)結論は、要は日本国憲法は安全保障、戦争と平和ついて何も書いてないから、政府は何が必要かを国会と相談して法律と予算を決めてということ。

憲法は国家権力者達をこの枠から出るなよと、縛るものですよね。それが安全保障、戦争と平和については何も規制しないから政府の好きなようにやって、政府が必要と思う法律と予算を国会に提案して、要するに自民党が相談して自民党で決めろということ、そうとしか読めない。

さすがにぶち切れまして、親しい伊藤真という護憲派の弁護士と、むこうは首相官邸に陣取って政府予算から日当もらってやっているが、我々は本当に私的な国民のための安保法制懇を作ろうと、物の弾みであっという間にそうなってしまって、ほぼ声明文もできてますから、閣議決定をした時には、ドーンと東京で記者会見して、ざっと顔に冷や水を浴びせようと本気で思っています。

(私は)改憲論者で、かつて赤旗の1面で軍国主義者と書かれた記憶があるのですが、今は赤旗には言いたいことをそのまま書かせてもらっている。それを変節だと恥じていません。生き物ですから毎日毎日状況を読みながら考えながら、考えながら自分の意見を見つけているから。

私、恥ずかしながら成長したんだと思います。それを変節漢とかですね、学問は宗教ではないですからね、35歳のバリバリの助教授の私は景気の良いこと言ってましたよ、あれはあの時の僕のすべてなんです、今は65歳ですからね、やっぱり悩みながら成熟したんですよ。本当に悩みながら日々生きています。毎日微調整してます。(6月14日、高知共済会館。高知弁護士会主催・憲法講演会)(2014年6月29日、高知民報)