2014年6月8日

四国電力 伊方620ガル根拠曖昧 高知県との勉強会で
 
12回目となる県・四電の勉強会
四国電力が再稼働を申請している伊方原発3号機の安全性について、高知県と四電が意見交換する12回目(前回は今年2月13日)の勉強会が5月29日、高知市の県民文化ホール多目的室で開かれ、四電が原子力規制委員会に提示し再検討を求められた基準地震動620ガルの根拠などについて議論がありましたが、四電側が回答できない場面が目立ちました。この日の勉強会は報道関係者とともに一般県民にも公開されました。 

勉強会に参加したメンバーは県側=大野靖紀林業振興・環境部長、高橋同副部長、酒井浩一危機管理部副部長 塚本愛子新エネルギー推進課長など。四国電力側=広報部エネルギー広報グループリーダー・奥田昌三氏、同原子力部業務グループリーダー・後藤功二氏など四電幹部ら。

3時間に及んだ勉強会では、基準地震動をこれまでの570ガルから620ガルに変更した問題について、四電が規制委員会から「いいとこ取りで矛盾している」と再検討を迫られた、震源を特定せず策定する地震動の参考モデルに、地震規模の小さい北海道留萌市庁南部地震を採用して、より規模の大きい鳥取西部地震を外し620ガルとした理由、使用済み燃料プールの耐震性や事故時の対応などについて多くの質問が出されました。

四電側は留萌市庁南部地震を採用して鳥取西部地震を排した理由について「伊方は近くの中央構造線がひずみのしわ取りをしてくれ、真下にひずみがたまることはまずないというのが我々の主張。鳥取西部には大きい断層がないので、ひずみがたまる可能性がある構造になっている」などと説明しました。

また県は四電が提示した基準地震動620ガルに含まれる「余裕」について、「四電の会社としての安全への考え方が示されるはずだ」と重ねて質問しましたが、四電から明確な回答はありませんでした。

使用済み燃料プールの耐震性について四電側は「プール自体は1000ガル対応だが、ポンプは570ガル対応」、福井地裁判決で大飯原発の使用済み燃料プールが堅固な施設で囲い込まれていない危険が指摘されたことについては「放射性物質は水で食い止める。囲わなければ危険という意味が分からない」(奥田リーダー)などと述べました。

県側からは「水で食い止めるのであれば、プール自体が壊れなくても循環系が壊れれば崩壊熱で危険」という指摘があり、次回勉強会には620ガルに含まれる「余裕」の考え方とともに、使用済み燃料プールの対応策について回答することが確認されました。

大野県林業振興・環境部長は「行政は原発には素人だが、県民目線から四電に疑問を繰り返しぶつけて確認し、その結果を県民に知らせていくことが県民の不安解消につながっていく」とコメントしました。

県と四電の勉強会で行われた意見交換の一部要旨。
 
基準地震動

四電 川内原発の審査が先行している。近傍に長大な断層がないことから620ガルで確定。伊方は中央構造線という長大な断層が走っていることから、(原子力規制委員会に)より地震動が大きくなる検討を要請され、作業に時間がかかる。

 (震源を特定しない地震動モデルに)留萌を選んだのは、伊方と地質が似ているためか。

四電 伊方と留萌が似ているというより、鳥取西部と似ていないことを説明できるのかというイメージ。伊方は中央構造線がひずみのしわ取りをして、真下に貯まることはまずないというのが我々の主張。鳥取西部に大きい断層はないので、ひずみがたまる可能性があると主張している。

 川内、高浜も留萌を採用している。場所は全然違うのに。

四電 留萌はちゃんとした地震データがあるのが大きい。それと結構大きい値が出ている。

 一番大きい6・9モーメントマグニチュードを使ってほしいという感情になると思うが。

四電 場所ごとの地盤の性質の違いだ。

「余裕」について

 基準地震動の算定には一定の余裕を見ていると思うが、規制側から指示があるのか。電力会社でこれくらい安全を見ておけばということか。

四電 定量的な基準はない。各事業者が独自に考慮しする。

 規制委員会に620ガルを提示しているわけだが、余裕について四国電力の考え方は。

四電 留萌を補正して評価している。使う数字を厳しく設定して585ガル程度。不確かな点もあり、これが余裕といえるのかもしれないが、それを含め620ガル。

 事業者が独自に考慮するということなので、余裕に四電の安全に対する姿勢があらわれる。考え方について次回にもう少し理解できるように説明してほしい。

使用済み燃料プール

 使用済燃料ピットやポンプは1000ガルに耐えられるか。

四電 ピットは1000ガル相当だが、水を循環させるポンプ・配管はそこまで求められていないが、570ガル対応。

 大飯の判決では使用済み燃料プールの危険が強調された。

四電 プール倒壊は考えられない。格納容器がないことが指摘されたが、必要性が分からない。放射性物質は水に溶け出すだけで外への影響は考えられない。

 水がなくなると燃料がむき出しになり閉じ込めることができない。

四電 水が出ていけば問題だが、プールから水は出ない。閉じ込める機能がないので困る理由が思いつかない。水で閉じ込めるのが基本だ。

県 水が満たされて(放射性物質を)閉じ込めるという話だが、崩壊熱がある。ポンプなど水の循環が非常に重要。プール同様に1000ガル対応にするのが危険側に立った判断。長期間の保管に耐えられるかということも不安だ。

四電 水を確保することが大事。燃料が水に浸かっていれば安全性が確保できる。

 これまで四電は570ガルの基準地震動の2倍程度の耐震裕度を持たせていたが、基準地震動が見直されても、この安全率を確保するのか。

四電 今は答えることができない。基準地震動がどれくらいになるか見ながら考える。620ガルは最低で(規制委の判断で)さらに上がるかもしれない。(2014年6月8日 高知民報)