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講演する阿部さん |
子どもの貧困をテーマに国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩さんが4月19日、高知市立自由民権記念館で講演しました。ホームレス支援などに取り組む「こうちネットホップ」(田中きよむ代表)主催。
阿部さんは講演に先立ち、15年以上前に川崎市でホームレス支援活動に関わった自らの経歴に触れ、当時の日本は貧困問題が存在しないとされて貧困率の数値がどこにも掲載されていない現状があったことから、数学の研究をしてきた阿部さんが「貧困率の計算ならできる」という思いで厚労省の一部である現研究所へ移った経緯を紹介。
「当時、貧困や生活保護の研究はマイナーだったが、貧困問題を理解していない人達に分かってもらうために、調査してデータを集めることが私の仕事だと思い15年間仕事をしてきた。数字がなければ、霞が関を説得することはできない」。
また阿部さんは日本の相対的貧困(※)率が2009年で16%、一人親家庭では50%を超えているデータを示しながら、子育て世帯への給付拡充を主張。
@特定の収入以下の世帯への扶助ではなく、権利としての普遍的な制度が望ましい、A児童手当などの現金給付が重要、B義務教育の完全無償化や生活支援=給食費無料、定時制高校や底辺校への重点的に配分などの対策を提起しました。
阿部さんは講演の中で、日本の財政が厳しい現状の中で、子どもの貧困解消対策の財源として消費税増税は必要であり、「逆進性が高いと言うが、納税額は所得が高いほど多い」などという持論を述べたため、会場からは「消費税は子どもの学用品にもかかる。増税は子どもの貧困解消と矛盾する」などの指摘がありました。
※相対的貧困 社会において当たり前の生活ができない状況。標準的な所得の半分以下で、現在は可処分所得1人120万円から125万円が貧困線になっている。(2014年4月27日高知民報) |