2014年4月20日

TPP説明会 県民の危惧に答えず
 
説明する高橋参事官
オバマ米大統領の訪日を目前にしてヤマ場を迎えている環太平洋パートナ―シップ協定(TPP)交渉について、高知県が主催し政府に情報提供を求めた説明会が4月12日に高知市中央公民館で開かれ、TPPを担当する内閣官房スタッフが説明をしましたが、「秘密保持契約がある」などとしてTPP参加のメリットだけを繰り返す一方的な説明に終始。重要5項目をはじめとする交渉の進捗状況や、県民が危惧を抱く農産物の関税撤廃による県内農業や中山間地の荒廃についてまともな答えはありませんでした。

高知県・市町村、各団体関係者などが出席した説明会の冒頭、小谷敦・県総務部長が、「TPPには非関税障壁撤廃もあるが、我々としては重要5項目の関税に関心がある。中山間地域に重大な結果をもたらすのではと危惧している。交渉が山場の時期に直接政府のら説明を聞き、切実な声を伝える場を設けるため説明会を開いた。政府には国益は必ず守るという強い姿勢で交渉に臨んでもらいたい」と開会あいさつ。

高橋和久・内閣官房TPP政府対策本部部員が「情報提供が少ないと言われるが秘密保持契約があり、日本が外国と比べて情報提供が遅れているとは考えていない」と前置きし、日本の人口減少、貿易収支悪化の中で、アジア・太平洋地域の成長を取り込むにはTPPのような「メガFTA(自由貿易協定)」が重要で、経済連携に参加しないことによる輸出市場喪失、サプライチェーン(製造した商品が消費者に届くまでの工程)からの疎外による日本企業へのマイナスの影響、TPPにより生じるISDS条項は日本企業の海外の活動に有利になるなど、説明の大半がTPP参加による企業のメリット論を繰り返し、「衆参農水委の決議(重要5項目の関税維持を求める内容)を守ることと、TPPをまとめることは両立する。オバマ大統領の来日は締め切りではない」などと述べました。

質疑応答では「政府が掲げる食料自給率向上とTPPは矛盾する」(JA関係者)、「県の8割を占める中山間地の農業は生産性向上は難しくコメと畜産が主体でTPPにより非常なダメージが想定される。中山間地に留意した交渉を」(笹岡貴文・県県農業振興部副部長)という声が上がりました。(2014年4月20日 高知民報)