市営住宅の入居募集の広報を「一般向け」と「旧地域改善向け(旧同和住宅)」で区別し、「旧地域改善向け」住宅の公募情報を多くの市民から隠して意図的に倍率を下げるやり方が、高知市で依然として続いています。3月18日の同市議会では人権施策推進本部長の吉岡章副市長が「地域の厳しい実情に配慮して、当面の間、一定の措置を講じる」と答弁。同和行政の根拠法が失効してから12年が経過した今日も、思考停止した認識を露呈させました。市住の入居募集における不平等について下元博司議員(日本共産党)が質問したもの。
2002年3月、同和行政を根拠付ける根拠法がすべて失効したことから、同市営住宅への入居の資格条件は「一般向け」も「地域改善向け」も同じになり、同和地区に居住していることは入居資格の前提にはならなくなりました。
ところが、地区外からの応募で倍率が上がることを嫌う同和団体の要望に応える形で、応募者を人為的にブロックするために考えられたのが、募集の情報を隠蔽するやり方でした。
同市広報「あかるいまち」や市ホームページには「一般向け」の募集情報だけしか掲載されず、「旧地域改善向け」は市民会館=隣保館だけで広報する仕組みが2002年以降続いてきました。
その結果、「一般向け」の応募は10倍以上という高倍率であるにもかかわらず、「旧地域改善向け」は2倍程度と倍率に異様な開きがでています。
公営住宅法22条は限定した特別な事由がある場合を除き入居者を公募すること、公募方法は「新聞、掲示等区域内の住民が周知できるような方法で行わなければならない」と定めており、募集情報を意図的に隠蔽する同市の現状は公営住宅法を逸脱していると考えられ、市役所の担当部署からも不満が聞かれます。
しかし、市議会本会議で、市民に等しく広報しないことの理由を指摘された吉岡副市長は「当面の間、一定の措置を講じる」ことになっていると繰り返すだけでした。
■一問一答の要旨
下元議員 住宅課のホームページの入居等についての問答集「入居者の決め方や結果通知の仕方を教えてください」に対し、「募集住宅1戸につき複数の応募があった場合、抽選会を行って当選者1名と補欠当選者2名を決める。抽選会は公開で行う」。「入居者募集の時期や申込方法を教えてください」では、「募集する団地の名称や種別、戸数、申込案内書の配布時期や場所、受付の方法などは、広報『あかるいまち』や『高知新聞』などで知らせている」と答えている。この答は正しいのか。
海治甲太郎・都市建設部長 ホームページは一般向け住宅を対象に広報している。
下元議員 一般向け住宅と(旧)地域改善向け住宅の入居の資格要件は同一だ。なぜあえて一般向けだけホームページでやるのか。市民に対して説明ができない。なぜ地域改向け住宅の募集があることを市民に隠すのか。大きな問題だ。
吉岡副市長 地域改善向け住宅は一般向け住宅とは建設の趣旨や経過も違うことから、人権施策推進本部において「依然としてきびしい地域の実情に配慮し、当面間、一定の措置を講じる」ことが決定されている。
下元議員 2008年の包括外部監査でも、一般向けと地域改善向け住宅の供給数と倍率の乖離を指摘されている。一方は10倍台、一方は2倍台では不公平だ。もし、きびしい状況があって施策を展開しなければならないということであれば、市民にはっきり示して、理解を得ることが、市長の言う同和問題の解決になっていくのではないか。
吉岡副市長 平成25年2月、人権施策推進本部の「同和関連事業の見直し」の中で(旧)地域改善向け住宅については、これまで同様、「当面の間、一定の措置を講じる」ことになっており理解願いたい。
下元議員 市民会館の管内でない住民も応募はできるわけで、今の募集のやり方は「闇募集」だ。市民を差別しない住宅行政を強く要請する。(2014年3月30日 高知民報) |