オスプレイ使用 日米共同統合防災訓練詳細を防衛省が高知県に通知 航空機13機使用

 
訓練詳細を報告する防衛省職員(1月21日、高知県庁)
米海兵隊のMV22・オスプレイや大型ヘリCH53と陸海空自衛隊機など13機の航空機、海上自衛隊護衛艦「ひゅうが」(実質ヘリ空母)を用い、南海トラフ地震を想定した日米共同統合防災訓練(TREX)が2月7日、高知県内では室戸市中央公園、香南市陸自高知駐屯地、土佐市沖洋上、土佐清水市空自土佐清水分屯地、土佐清水沖洋上などで実施されます。

この訓練は昨年10月に計画され、台風接近で中止になったものを基本的に踏襲。オスプレイの使用を2機から1機に減らす一方で、福岡県にも広げるなど一部拡充する内容。

1月21日には防衛省国民保護・災害対策室、統合幕僚監部の幹部が県庁を訪れ、高松清之・県危機管理部長らに訓練のタイムスケジュールを報道陣に公開した場で説明しました。

町田一仁・防衛省国民保護・災害対策室長は「南海地震発生時に自衛隊と米軍や他機関が対処する計画に基づく訓練。海兵隊は災害救援のマンパワーと装備を持ち、長い航続距離と垂直離着陸できるのはオスプレイしかない。普天間から高知龍馬空港まで2時間40分。救援に役立つ装備を、いかに使っていくか。訓練で蓄積したノウハウを県、関係機関、自衛隊でいかしていく」と、防災訓練であることを強調し、オスプレイの「安全策」については、「駐屯地への進入は川沿い、稜線上を飛行、飛行モード転換は努めて洋上で実施するなど、合同委員会合意を踏まえるよう米軍に要望している」などと述べました。

高松県部長は「オスプレイに限らず安全は大前提だ。地元地域への丁寧な説明をお願いしたい。米軍との訓練は有意義であり不可欠。ノウハウを互いに積み上げていくのが大事だ。安全性にはずいぶん配慮していただいている。改めて疑問はない」と評価。また2月7日に実施される県立高校の入試への配慮を求めました。

防災は名目 オスプレイありきだ

「郷土の軍事化に反対する県連絡会」は、米海兵隊のオスプレイを使った南海トラフ地震を想定した日米共同統合防災訓練の中止を1月22日、高知県に申し入れました。

要請内容は、@防災に名を借りた実質的軍事訓練反対、A墜落事故が懸念され救難に不向きなオスプレイを訓練に参加させるな、B沖縄の負担軽減を口実にしたオスプレイ訓練の全国展開に加担するな、C災害対応を自衛隊や米軍に頼る現状を変えるため災害対応の専門組織新設の4点。

山崎秀一・県平和運動センター代表が「防災と沖縄の負担軽減の名でオスプレイの訓練を全国ですることが目的だ。事故は離発着の時に起きており危険だ。訓練受け入れは低空飛行に反対する県の姿勢と矛盾している」と指摘しました。

対応した酒井浩一・県危機管理部副部長は「オスプレイに限らず低空飛行訓練反対は変わらない。今回の訓練はあくまでも防災訓練だ。軍事訓練であれば反対する」と述べました。

また訓練予定日が県立高校前期入試と重なる日程であり、陸上自衛隊の大型ヘリCH47が離着陸する室戸市中央公園と室戸高校が僅かな距離しか離れていないという指摘に、「大事な試験であり、時間が重なるなら、訓練時間をずらせるか中止する」(酒井副部長)と回答しました。

共産党県議団も中止要請

 
 岩城副知事と面談して訓練中止を要請する共産党県議団
日本共産党県議団(塚地佐智団長)は1月24日、米海兵隊のオスプレイが参加する「日米共同統合防災訓練」の中止を岩城孝章・副知事に要請しました。

塚地団長は「安全に懸念があるオスプレイを県民の安全のための防災訓練に使用するのは本質的矛盾であり認められない。本当に県民の安全を考えるなら、オスプレイ抜きの訓練を高知県として求めるべきだ。中谷元・衆議院議員が述べているように軍事訓練が本質だ」と指摘。

岩城副知事は「震災発生時に在日米軍の支援は必要であり、その際に中心を担うのがオスプレイになるという現実の中で、実際に使う機体で訓練するのはやむを得ない。安全確保のために県職員が立ち会ったり、機体に搭乗して、訓練の途中でも安全確保の要請を申し入れる。あくまでも防災訓練であり、饗場野(滋賀県)のような軍事訓練であれば認めない」と回答しました。

県議団側は、「防災訓練であるにもかかわらず、県が危険回避策をとらなければならないこと自体がおかしい」と重ねて指摘しました。(2014年2月2日 高知民報)