2014年1月1日

官邸前行動 腹くくってやる 「実質的脱原発作った世論に力に自信を」 ミサオ・レッドウルフ

ミサオ・レッドウルフ(12月1日、松山市)
安倍政権は脱原発を求める国民の声に耳を貸しませんが、私は首相の態度は意外ではない。腹も立たない。「やっぱりね」とあきれている。原発の危険性をよく分かっていないんでしょうね、安倍首相は。

3・11後の3年間で脱原発世論の土台は完全にできました。だから民主党政権も段階的ではあるがゼロを言いかけた。

自民党が政権につき、国民の声と政府の方針が捻れましたが、あまりにも国民が望んでいないことばかりするので、自民党に投票した人にも、さすがに危険性が分かってきている。その中で脱原発を求める世論との捻れも解消される方向になっていくのではないでしょうか。

3・11後、政策を転換させるところまでは行かなくても、状況として脱原発している状態を私たちの運動と世論は作っています。

地味ではあるけれど、実際のところを考えると、小熊英二・慶応大学教授が言うように日本はチェルノブイリ後のドイツより、脱原発に早くなっている。

私はあまり楽観的なタイプではないし、運動の渦中にいると、問題点ばかり見えてくるところもあるのですが、小熊教授の話を聞き、「なるほど。確かにそうかもしれない」と感じ、私もそれを言うことにしています。中国電力の山口県祝島・上関原発も建設方針の白紙撤回まではできていませんが、反対運動があるから30年間作らせていない。

そういう見方をしていくことが大事なんだろうと思います。自信を持つべきです。小泉純一郎元首相の発言には驚きました。そこまで言うかと思ったのが、「即時ゼロ」と、安倍首相を名指したこと。意外でした。小泉元首相がなぜ今、ああいうことを言うのか。

これも世論の土台があるから。即時原発ゼロを言うことで、ヒーローになれると感じているからではないでしょうか。小泉発言には自民党も相当「迷惑」している人は多いと思う。これからも何が起きるか分からないし、自民党政権が永遠に続くわけでもない。とにかく今動いていない原発を止め続け、当面実質的な脱原発を続けていくとだと思っています。

2012年3月から始まった金曜官邸前抗議行動は通算80回を超えました。今は毎週2000〜3000人が参加しています。毎週参加する根強い人と同時に、今でも初めて来たという人もいます。人が減ったと言われますが、世論的には変わっていない。脱原発を求める世論は安定しています。

人を呼び寄せるのはやろうと思ってできることではありません。著名人が来たといっても人は集まりません。人数が多ければより効果はあるのは確かですが、誰が人を呼んでいるわけではないので、2012年夏に官邸前行動の参加者が膨れあがったことは、私は現象だと思っています。いろんなタイミングで人々が動いた。

あれと同じ事がくるというのはなかなか難しい。「夢」はみていない。一定の人数で行動を継続することも大事だと思います。

週1回やることで反原発運動が続いているアピールになりますし、全国各地でも金曜行動をやっています。官邸前行動があるから地方でも頑張っていけるみたいなところもあるので、運動全体への責任を感じながら腹をくくってやっています。

自分のしたいことだけをしているわけではない。そもそも、脱原発運動などしたいと思っていませんので。ゆっくりしたいじゃないですか。できればこんなことをやらなくてすむように早くなってほしい。(笑)

ミサオ・レッドウルフ 広島市出身。2007年から六ヶ所再処理工場の反対運動に非営利団体「NO NUKES MORE HEARTS」を発足させて取り組み、2011年には「首都圏反原発連合」設立を呼びかけた。名はネイティブ・アメリカンに倣っている。(2014年1月1日 高知民報)