2014年1月1日

沖縄を伝えたい 青年が「標的の村」上映会 1月23日(木) 高知県立美術館

 
 「標的の村」
オスプレイ配備とヘリパッド基地建設に反対する沖縄県東村・高江の住民のたたかいを琉球朝日放送が密着して報じた迫真のドキュメンタリー映画「標的の村」(三上智恵監督)が1月23日(木)に県立美術館で上映されます。

2012年9月29日、オスプレイ配備強行に抗議する住民の座り込みで普天間基地が22時間封鎖された事を全国メディアは黙殺したが、地元・琉球朝日放送はクルーを配置し刻銘に映像を記録していました。

本作はこの時の映像に加えて、国が高江住民を「通行妨害」で訴えたSLAPP裁判(※)、60年代には高江をベトナム村にみたてて訓練し、住民にベトナム人役をやらせていたという衝撃的な事実も紹介し、「日本人」の知らない沖縄の現実にズームアップします。

同作品は短時間に編集(30分版、46分版)されたものがテレビ朝日系列で放送され大反響を呼び、自然発生的に全国各地で勉強会の資料として活用される状況が生まれていました。

今回の劇場場では91分に編集をやりなおし、テレビでは見せることができなかったシーン、長いカット、テレビ局の機動力無くして捉えられなかった普天間基地のゲートに身を投げ出した住民の怒りと悲しみなど、現在進行型の沖縄を映し出します。

上映日時 1月23日(木)、14時、16時、18時、20時

会場 県立美術館

料金 一般前売1000円、当日1200円(前売券は高新プレイガイドなど、高知民報社、平凡堂にもあります)

主催 「標的の村」高知上映委員会

※権力を持たない住民に対し、政府などが恫喝的な目的で起こす裁判。

 
 左から梶尾さん、吉永さん、大崎さん

 「標的の村」上映は、高知生協病院に勤務する3人が自主的に取り組み始めたもの。「標的の村」に込めた思いを語ってもらいました。

「自分にできることを」

梶尾望さん(34歳、看護師) 高知生協病院の平和支援活動で2013年10月、沖縄のアメリカ軍基地の現状を見ました。戦跡をめぐり、オスプレイで揺れる東村高江、普天間基地の移設先にされている辺野古にも行きました。

現状を知り、自分達にも何かできることはないのかと思ったのが「標的の村」上映でした。これまで高知で上映されることもなかったので、「じゃあ自主上映をやってみようか」。そこが始まりでした。

僕は映画が好きで、映画の力を信じていますから、自分達にできることをやろうと。協力してくれる仲間に声をかけ、そういう感じで3人が集まって動きだしました。

沖縄の現地では粘り強い運動が続いており、辺野古の座り込みは10年以上ですね、たたかい続けている人がいて、沖縄の人は僕らのことを「内地」の人と言いますが、「内地」の僕らはそういった現状を全然知らない、関心を持っていないのは、情けないというか、自分の意識がそういう所に向いていなかった気がして、無関心だったなという反省もありました。それがきっかけです。

高江のゲートに行った時、座り込みの人をアメリカ兵が基地側から撮影していたり、フェンスもあって、ヤンバルという昔からの自然豊かな森なのですが、「アメリカ軍の基地に入るな」という標識があったり。沖縄の人達の土地なのに奪われている。すごくおかしいと思いました。

それまで、沖縄の基地の問題をあまり考えていなかった、座り込みも気にはなっていたのですが、何か行動しようとまでは思っておらず、後回しにしていた。今回行く機会が持てたことで、やはり後回しにしてはいけないと思いました。できる時に一歩足を踏み出さなければならないと、すごく思った。

映画で少しでも多くの人に沖縄の現状を知ってもらうことが、僕らが高知でできることかなと思っています。こういう映画をやれる機会もめったにないので、肩の力を抜いて、過程をみんなで楽しみながら取り組みます。

「現状知ってほしい」

吉永晴香さん(26歳、理学療法士) 梶尾さんから「映画をやりたいんだけど」という話がきて、初めは「えっ」と思いましたが、ユーチューブで予告編を見たら「あ、これは考えなくてはいけない内容だ」と思い、せっかく声をかけてくれたので、自分にできることがあれば手伝わせてもらおうとやりはじめました。

辺野古のことはニュースで見ていましたが、高江のことはまったく聞いたこともなく、知らなかった。今回映画上映に関わったことで、こんな現状があるのかということを知りました。映画でいろんな人に現状を知ってもらい反対の声が広がればいいなと思います。

「フェンスに違和感」

大崎香苗さん(30歳、薬剤師) 話がきたのは既に決まった後で(笑)、そういう裏方の作業とかは嫌いではないので、あまり深く考えずに、「いいよ」って言ったところもあるんですけど、私も5年くらい前に辺野古に行ったことがあります。戦跡を周ったのですが、辺野古にも行きました。

砂浜がキャンプシュワブ基地のフェンスで分けられていて、そういうのを実際に見ると、すごい違和感があった。今まで基地というものに触れたことがなかったので。映画では現地の人の生活とか状況がよく分かるので、より沖縄を身近に感じてもらい、多くの人が考えてもらえるきっかけになってほしい。(2014年1月1日 高知民報)