置き去りにされる福島 依光(朝日新聞)、鴫原(飯舘村長沼地区)氏が報告

   
依光隆明氏 鴫原良友氏 
元高知新聞記者、朝日新聞編集委員で福島原発事故を検証する長期連載「プロメテウスの罠」を担当する依光隆明氏と、第一原発から33キロメートル地点の飯館村長泥地区で被災した鴫原良友さんが12月13日、高知市中央公民館で開かれた中江兆民没後112年忌行事で記念講演しました。

依光氏は取材で得た情報から切り捨てられている福島の現状を報告。

事故直後に、爆発や放射能拡散状態などの重要な情報を東京電力や官僚はほとんど首相官邸に上げない中で、住民を避難させる決定が行われ、多くの住民を大量被曝させたこと、官僚は常に最大多数の幸福を考え「パニックを防ぐ」ため少数弱者は切り捨てること、南海トラフ地震で被災した高知県は切り捨てられる側になることなどに言及し、「東電や官僚を批判して溜飲を下げいるだけではいけない。事故後の検証こそが大切だが、誰も検証してない」と、福島を置き去りにしたまま、なし崩し的に原発稼働に回帰する今日の流れに警鐘を鳴らしました。

鴫原さんは、被災前の飯館村の農村の風景、祭りや村人の行事などの画像を見せながら、「こんなにきれいな風景だったのかと、失って初めて気がついた。今を懸命に生きよう。福島のこと原発事故を忘れないでほしい」と語りました。(2013年12月22日 高知民報)