障害児が特別支援学校に通学する際の交通費を助成する「特別支援教育就学奨励費負担制度」(財源は国県で折半)の対象が、自家用車のガソリン代、列車やバスに限られ、介護タクシーが対象外とされていることから、障害児と保護者の実態に合わせ介護タクシーも助成対象に含めるべきだという声が上がっている問題で、タクシーを助成の対象外にすることを明文化した根拠は存在しないことが分かった。
高知県教育委員会特別支援教育課によると「助成対象になるのはガソリン代、列車・バスとなっており、タクシーを認めないという記載はない。これまでの国との議論の積み上げの中で、タクシーは含まれないということになっているようだ」と歯切れ悪い回答。
かつては重度の障害児を自宅から通学させる保護者のニーズは高くなく、施設に入る、あるいは訪問学級(教員が自宅を訪問する)が前提とされ、タクシーは「贅沢」扱いされてきた。
しかし、近年は自宅で共に生活しながら通学を望む保護者も増えている。訪問学級とは異なり、学校で多くの教職員やクラスメイトから受ける刺激と、専門に調理された給食などによって「訪問学級の時と比べて確実に表情が豊かになっている」という声が保護者からは聞かれる。
重度障害児が義務教育を受けるために介護タクシーを使うことが「贅沢」などというのは、公共交通機関の乏しい地方の暮らし、幾重にも支援が必要な重度障害児を育てる保護者の実態をみない時代錯誤でしかない。
本来、県教委には児童が義務教育を受けるために通学を保障する義務があり、県教委の責任でスクールタクシーを走らせるような性質のものだが、重度障害児の場合には、個別に介護タクシーを利用したほうが、はるかに低コストで効率的でもある。
ある県教委幹部も「確かに、現実に制度が追いついてないと思う」と話す。全国的にもタクシーが認められないことで、通学をあきらめている事例、潜在的なニーズも少なくないだろうと思われる。高知県から問題提起し、古びた制度に風穴を空けてほしい。(N)(2013年12月8日 高知民報) |