3年でわずか2件 「制度ないのと同じだ」 医療費窓口減免

高知市には国民健康保険の利用者が診療を受けた時に、経済的に困難がある市民を対象に窓口で支払う3割の自己負担(一部負担金)を減免する制度(平成16年度から)がありますが、実績は市民生活が厳しさを増す23年度以降の3年間でわずか2件。市民生活の実態とは乖離が生じており改善が急がれています。

過去3年の実績は23年度1件、24年度0件、25年度1件。11月28日の「平和と生活を守る高知市民の会」(山本正博代表)の来年度予算編成に向けた交渉の席で市側から報告されました。

交渉参加者からは「生活苦が広がる中で、この少なさは異常。制度があってもないのと同じだ。思い切った取り組みをしなければ状況は変わらない」と指摘があり、医療機関窓口に減免申請書を置くことを求めました。

市側は「軽減の財源は国保料であり、これ以上の条件の緩和は困難だ。申請書は市役所の窓口で詳しく話を聞いた上で要件を満たしている人に渡している。医療機関の窓口で申請書を渡すことはできない」などと回答しました。

「市民の会」側は、「困っている市民が病気にかかった時に行くのは病院だ。市役所に行くわけではない。市民が行く所に申請書を置くべきだ」と重ねて求めました。

※国保法44条「一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し減免することができる」を根拠に実施されているもの。高知市の現行基準は、実収入が基準生活費の130%以下の世帯で、収入が前年度から20%以上減った時とされている。

無料低額診療薬代助成は拡大

「平和と生活を守る高知市民の会」(山本正博代表)は11月28日、2014年度予算編成に向けた要望を執行部に伝える交渉を実施。防災、教育、ゴミ、都市建設、商工、国保や福祉などの分野で市民生活を守る観点の施策の実現を求めました。

教育委員会 就学援助に関連して、高知市公立中が全校で給食を実施していないことから、学校により給付に格差が生じている(給食費は給付されるが弁当は対象外になる)矛盾が指摘され、早期の中学校給食の実現、当面は弁当にも給食費給費に相当する昼食補助をすべきではないかという意見が出されました。

全国学力・学習状況調査の結果公表については「学校別公表はすべきではない」、平和学習は「本市の教育行政にとって重要。直接肌で触れることが大事」と回答しました(学校教育課)。

中学校給食が「今は校舎の耐震化を優先」(教育環境支援課)という理由で実施が後景に追いやられていることについて、「校舎と子どもの健康や貧困対策は次元が違う問題で理由にならない。食べ盛りの中学生からきちんとした食生活を身につけさることが重要」(山本代表)という指摘がありました。

健康福祉部  子どもの医療費無料化の対象拡大について「直ちには困難だが助成拡大は検討していく」(子育て支援課)と、これまでより一定踏み込んだ発言があり、生活に困窮し無料低額診療を受診する患者に負担が生じる薬代の全額助成を生活保護に繋ぐまでの期間として、現行2週間から4週間に延長するという回答がありました。(2013年12月8日 高知民報)