使えない介護タクシー 重度障害児通学支援 ガイドヘルパー 制度の谷間で対象外

K君を送迎するYさん
重度障害を持つ児童の特別支援学校通学を支援する制度の貧弱さから、保護者の体調不良のため、通学を断念する事例が生じています。障害を持つ子どもと、送迎する保護者の双方の実状に即した支援制度の拡充は急務です。

高知市東部に自宅があるYさん(45)は、重度障害児のK君(11歳、小学5年生)を、片道17キロメートル離れた県立若草養護学校本校(高知市春野町弘岡下)に週3回程度通学させています。(通常2往復、距離は約68キロメートルになる)

朝、自宅を出る時には軽四輪ワゴン車にK君を乗せますが、首が据わらないため座席に座らせる時には慎重を期す必要があり、女性一人ではたいへんな労力です。

また運転中、K君の頭の位置がずれてくると唾液が上手く飲み込めなくなりむせてしまうため、「信号待ちで頭の位置を直しながら運転している」(Yさん)など、送迎時の安全にも懸念があります。

YさんはK君が小学1、2年の時には県立若草養護学校国立高知病院分校(高知市朝倉西町)へ通学させていましたが、Yさんの体調不良のために自家用車での送迎を断念。3、4年生時には訪問学級(教員が自宅を訪ねる)に。5年生からは再び若草本校への通学に切り替えました。Yさんは「できるだけ通学させたいが、いつまで続けることができるか心配」と話します。

現在、Yさんが利用している通学への公的支援策は国制度の「特別支援教育就学奨励費」。通学時の公共交通機関の経費やガソリン代を国と県が折半して補助する制度ですが、ガソリン代の単価計算は1キロメートルあたり約12円(2013年度、軽四の場合)で、県職員が業務で自家用車を利用する時の実費計算キロあたり29円とは大きな差があります。

また、鉄道やバスなど公共交通機関であれば補助対象になりますが、タクシーは原則認められず「公共交通が原則。極めてレアなケースだけ」(県教委特別支援教育課)。

Yさんの体調不良などでタクシーを利用する場合には全額負担(高知市独自制度の年間13200円のタクシーチケット補助は利用可)になります。

さらに、タクシー通学するためには車内でのサポートや突発的な事態に対応するための介助者=ガイドヘルパーが同乗する必要がでてきますが、通学時にヘルパーをつける制度はなく、保護者が同乗しなければならないためにタクシーを利用するメリットがなくなってしまう(自分で運転していったほうがまし)など、ガイドヘルパー配置の要求も切実です。(2013年12月1日 高知民報)