人権と民主主義・教育と自治を守る県共闘会議(鎌田伸一議長、県人権共闘)は11月19日、県が来年3月に策定する「県人権施策基本方針」素案について県人権課と意見交換し、素案に依然として残る同和問題に偏った人権問題への認識の是正を求めました。
同基本方針は、県人権条例に基づき、今後5年間の県の人権施策の基本的スタンスを定めるもの。人権教育、人権啓発のあり方、公務員や医療関係者へ啓発推進などをうたいながら、素案の第4章「身近な人権課題ごとの推進方針」では、女性・高齢者・障害者・子どもなどに先立ち冒頭に同和問題を置き、「正しい認識や理解が十分でないことなどを原因とした差別意識が依然として残っています」などとしています。
県人権共闘からは素案に対し、@国家権力などによる人権侵害を不問にしている、A特定の差別課題に矮小化し、労働者の人権問題や思想差別が欠落、B「意識」の要因に目を向けていない、などの指摘があり、改善を要請しました。
また素案が「同和地区や同和地区の人を意識する」ことがない回答の比率を平成30年度に60%(24年度は53%)にする目標値を掲げていることに、「県民の内心の問題に介入し行政が数値目標を持つことはやめるべき。『意識』しても理性で抑えることもある。確認糾弾やエセ同和行為からくる『意識』は間違いではない」などと批判しました。
県人権課は「同和問題について意識しなくなることが理想であり、差別解消につながる。数値目標は『意識』を目に見える形にするためには必要だ」と回答。人権課題の記述順序については、県庁内部の議論では県民の関心の高い順に変更しようということになり、基本方針策定を議論している条例に定められた外部委員による「人権尊重の社会づくり協議会」(上岡義隆委員長)に諮ったものの認められず、従来通りになったという報告がありました。(2013年12月1日 高知民報) |