|
高知県に訓練実施を通知する中四国防衛局(9月6日、高知県庁) |
南海トラフ地震を想定し、オスプレイ(MV22)を使用する日米共同統合防災訓練実施を中国四国防衛局が9月6日、高知県に対して通知しました。県はオスプレイ飛行時の国の責任における安全対策の徹底(市街地上空を避ける、飛行モード転換の規制)を求めながら、「オスプレイの機動力の大きさに期待する」(高松清之・危機管理部長)とも述べ、オスプレイの訓練参加を承諾しました。
同訓練は陸上自衛隊中部方面隊が10月25から27日に高知県一帯で(愛知県、和歌山県などで実施予定)計画している「南海レスキュー」に重ねて、同日程の範囲で防衛省統合幕僚部と在日米軍の合同訓練を付け加え、オスプレイが香南市の陸自50普通科連隊、土佐清水市の空自通信所、土佐湾上の海自護衛艦いせに離発着する予定です。
この日、訓練の説明のため県庁を訪問したのは松田尚久・中国四国防衛局企画部長で、県側は高松危機管理部長が対応。面談の模様は報道陣に公開されました。
中四国防衛局の松田部長は「巨大災害に備えるため日米の相互運用性向上をはかるもの。沖縄の負担軽減のために沖縄以外での訓練実施の観点もある」とし、8月26日にネバダ州で起きた墜落事故については、「事故は砂漠で視界の悪い状況での着陸に備えた訓練中に起き、乗組員にけがはなく脱出した。クラスAの事故。ブラックボックスを回収して原因を調査中。アメリカでは現在も運用は継続している」と述べ、機体の炎上には触れませんでした。
高知県の高松部長は「日米共同訓練は必要、有益。異を唱えるものではないが、オスプレイへの安全性への懸念が完全に払拭されたわけではない」とし、ネバダの事故原因の究明、国として訓練飛行時の日米合意遵守(市街地上空の飛行を避ける、市街地上空でモード転換を行わない)を「きっちりやってほしい」と指摘しました。
同時に高松部長は「オスプレイは後続距離、目的地への到達時間にしろ機動力が高いし、輸送能力も高い。いざという時の力は大きいものがあると期待している。オスプレイも含め、垂直離着陸できる手段は大きな意味がある」とオスプレイを評価。オスプレイを含めた低空飛行訓練を批判してきた、これまでの県の姿勢と相反するような光景が見られました。(2013年9月15日 高知民報) |