近くて近くて遠い隣国 韓国からのレポートA「JSA 共同警備区域」
 
拳銃をすぐに抜けるよう腕を少し曲げたテコンドースタイルで半身を隠し警備する国連兵、正面には北朝鮮兵が見える
「38度線」=朝鮮半島の軍事境界線上で韓国と北朝鮮が接する共同警備区域(JSA)「板門店」を8月9日に訪ねた。ここに入るのは韓国国籍だと難しいが、日本人など外国人は指定されたソウルからのツアーで簡単に行くことができる。

軍事境界線は1945年に日本が無条件降伏した後、朝鮮半島に残る日本軍を武装解除するソ連軍とアメリカ軍の分担占領区域の境界とほぼ同じである。

50年6月25日、金日成率いる北朝鮮の南進に端を発した朝鮮戦争では、一時は板門店から約80キロメートルしか離れていない首都ソウルを含め、韓国の大部分が北朝鮮の支配下に置かれたが、マッカーサーの仁川上陸作戦で巻き返したアメリカ軍を中心とする国連軍、義勇兵を送り北朝鮮を支援した中国軍による激しい戦闘の結果、38度線付近で戦線が膠着。53年7月27日に板門店で北朝鮮・中国軍側と国連軍との間(韓国は入らず)で休戦協定が結ばれ今日まで継続している。

軍事境界線上にある板門店に至る手前には、DMZ(非武装地帯、境界線の南北に2キロメートルづつ)、民間統制区域という二重の緩衝ゾーンがあり、武装した韓国兵や米国兵によるパスポートをチェックを経なければ入ることができない。

板門店=JSAに入ると、写真や映画で見覚えのあるライトブルーの小屋(軍事停戦委員会会議室)が唐突に目の前に現れた。

いきなり小屋の向こうは北朝鮮と言われても実感が湧かないが、北朝鮮兵がこちら側を双眼鏡でのぞく姿、警備の交代のために足を高く上げる独特のスタイルで歩く光景が見えた。

会議室の中に数分間入ることが許可され、室内では軍事境界線を越えて北朝鮮側に入ることもできる。民間統制区域に入って以降、写真撮影は厳しく制限されるが、JSAでは3分だけ撮影が許され、警備する兵士と記念撮影するツアー客など完全に観光地化している側面もあるが、一方で北側のツアー客が亡命のために軍事境界線を越えて韓国側に走り込み、銃撃戦になった事件も過去にあり、見学前には「死んでも文句は言いません」という一文にサインさせられる。朝鮮戦争はまだ終わっておらず休戦中であること、分断国家の現実が圧倒的に迫ってくる。(写真と文・中田宏)(2013年9月1日 高知民報)