2013年7月21日

消費税、TPPどこへ? 安倍首相 重要政策何も語らず

 
演説する安倍首相(7月9日、高知市中央公園))
安倍晋三首相・自民党総裁は7月9日、高知市中央公園で高知選挙区に立候補した自党候補応援のために演説しましたが、消費税増税、TPP、原発再稼動、改憲などの同党の政策の要にはまったく触れないまま、「夏のボーナスがバブル期以来伸びており、観光で高知も潤う」など、県民生活と噛み合わないピントのずれた話を繰り返しました。

安倍首相は「アベノミクス」を「この道しかない」と自画自賛。夏のボーナス「増加」によるトリクルダウンで、地方も潤うと強調しましたが、県内の自治体・教職員の大幅賃金カットなどによる、高知県民の所得減少の実態とは噛み合わないまま。

来春に控える消費税増税については何も言わず、「成長戦略」として薬の認可の規制緩和、農業問題ではTPPには触れぬまま農家所得を10年で倍増させるなどという無責任な話に終始しました。演説要旨は以下。

安倍 1年前はデフレ、給料が毎年下がり、行きすぎた円高で国際競争に勝てない。雇用が失われ、国力が低下していた。自民党が政権復帰し、次元の違う金融政策、財政出動、成長戦略でGDPがマイナスからプラス、求人倍率が0・9へ。リーマンショック以前に戻った。

民主党政権が3年かかってできなかったことを半年でやり遂げた。政策は間違っていない、この道しかない。

実感がないと言う人も多いが、ボーナスは74社も増えた。バブル期以来の伸びだ。ボーナスが増えれば「旅行に行こうか、土佐へ。夜はカツオ、1皿でなく2皿」。これで観光地が潤う。今年の夏は過去最高の8000万人が旅行する。ボーナスが増えた人が、カルビを食べたら、肉屋が、酒屋が儲かる。タクシーも潤う。金はまわっていく。

これから成長戦略を進める。医療介護の技術を世界に輸出する。日本は2兆円の貿易赤字だ。なぜか。薬を作っても患者に届く前に認証に時間がかかり外国に特許をとられるから。問題は行政にある。それを変える。

農業、しっかり瑞穂の国を守る。林業も守っていく。はっきり約束する。その上に立って若い世代が未来を切り開けるように。高知のニラやショウガは日本一。世界に輸出し、農村の収入を10年間で倍増する計画を。

これを全部やれば、10年で国民総所得は150万円増える。70年代、80年代にはやってのけた。今の私たちにできないはずはない。要はやるか、やらないか。やろうじゃありませんか。世界一めざして。(2013年7月21日 高知民報)