2013年7月14日

コラムアンテナ「存在の耐えられない軽さ」

 
憲法9条改定に反対の意思表示をする高野候補(左端、7月2日、かるぽーと)
この捻れっぷりと軽さは、いったい何なのだろうか。

7月2日夜に開かれた高知青年会議所主催、参院選立候補予定者討論会での自民党・高野光二郎氏の憲法に関する言葉の数々。論旨が支離滅裂であることに、本人がどこまで気がついているのかがよく分からなかった。

高野氏は、主催者から提示された設問のうち憲法96条改定について、〇のボードを上げて賛成した。これは自民党の公約通りであり、自民党が掲げている改憲草案にも添い矛盾はない。

ところがである、「9条を改定し集団的自衛権を行使できるようにする」ことに賛否を問う設問に対し、高野氏は×のボードを掲げた。「9条改定には反対」であると。

「世界に類をみない平和憲法」、「国民主権、基本的人権、平和主義は徹底して貫く」とも述べ、「戦争なんかしまんよ、絶対せん」と語気を強め、芝居がかる場面さえあった。

高野氏が本気で憲法の平和主義、基本的人権を守り、戦争はしないと決意しているのであれば素晴らしいことだが、自らの発言と9条改定=国防軍創設・集団的自衛権行使を唱える自民党改憲草案とが、180度方向が異なり、相容れないということを、どこまで理解出来ているのか心許ない。

高野氏はさらに続ける。「しかし、有事の際に誰が守るのか、自分達の国は自分達で守る気概を示さなければ」。

そういう時のために専守防衛の自衛隊があるというのが、歴代自民党政権の見解であったはずだが、そのことを知ってか知らずか、良く聞けば9条改定が必要であるかのようなこともあれこれ言う。結局最後まで何をどうしろということは、聞くことができなかった。

結局、高野氏は憲法9条改定に賛成なのか、反対なのか、肝心なところがよく分からなかった。

自民党改憲草案の極右的な要素は県民の評判が悪いから「9条改定反対」装う「確信犯」なのか、攻撃される前からアメリカと共に世界中で武力行使に参加していく可能性が否定できない「集団的自衛権」の言葉の意味を取り違えているのか。

高野氏が自民党公認候補として県民の信を問うというのであれば、自党の改憲草案にある国防軍創設を堂々と主張し、有権者の審判を仰ぐのは当たり前である。そういう考えではないというのなら、脱党して無所属で出ればよろしい。国の進路を決める基本のところから、このいいかげんさは、有権者を愚弄するものだ。

一体全体、「9条改定反対」と自民党改憲草案が高野氏の頭の中で、どういうことになっているのかを見てみたい。(N)(2013年7月14日 高知民報)