住宅募集 特別扱い継続 高知市同和施策見直し
高知市人権施策本部(本部長・岡崎誠也市長、庁議メンバーで構成)は、平成25年度から27年度まで同市が取り組む同和行政の基本方針「同和対策関連施策の見直しについて」(以下「見直し」)をこのほど決定しました。見直し内容は、すでに実態のない大型作業所の廃止、法的に不可能になった特命随意契約による同和団体への「仕事保障」に代わる「高齢者団体」の就労支援への衣替えが主。問題の多い「児童館」や公営住宅の募集方法の特別扱いは継続されています。

「見直し」の基本的な考え方は「地域(※)の状況は悪化していることはあっても決して良くなっているとはいえない」、「同和問題の解決は行政の責務」というもので、従来の延長線で量的ボリュームを漸減させていくものに止まっています(※同和地区住民と同義)。 

主な変更点は以下。

@過去に同和団体等への補助金的位置付けで就労対策=「仕事保障」として取り組んできた清掃業務などの随意契約による発注を、一般対策の「高齢者団体支援」への就労支援として、競争性が一定働く形での随意契約へと変更(24年度から開始)。同和施策ではなく一般対策として取り組むと言いながら、「高年齢者等の就業機会の確保を図りながら、地域住民の就労を支援していく」という記載がされるなど、あいもかわらず同和施策として位置付けており、本来の制度の趣旨である幅広い高齢者に開かれた制度となるようなチェックが必要です。

Aすでに実態がなくなっていたものの、国への補助金返還を避けるために形式的に維持してきた大型作業所(朝倉、長浜、春野)の廃止、長浜共同店舗の売却など。

残存する主な施策は以下。 

@市民会館(13館)=隣保館の運営。25年度関連予算は約1億6000万円、人件費は正職員4人、再雇用4人、非常勤9人分。歳入は国補助金が5847万円、市の持ち出し1億円超。

A「児童館」=「子ども会」 旧同和地区だけにしか存在しない「児童館」(1館に2人の指導員を配置)、旧解放こども会の運営を継続(25年度予算は6000万円強、全額市負担)。「促進学級」(中学校教員が「児童館」に出向いて加力指導する)は継続するが、これまでの「有償ボランティア」形式から無償に変更し、浮いた財源で小学校版の「児童館」型加力指導を実施(週1回、教員OBなどの指導者を派遣、5月頃に開始予定)。

B旧同和市営住宅の入居募集情報を市広報「あかるいまち」には掲載せず、「市民会館」が配布する「館だより」だけにしか載せないことで、旧同和住宅への入居応募者を人為的に絞ることを継続。「見直し」には「地域の厳しい実情に配慮し、当面の間一定の措置を講ずる」という不可解な記述が記載されているだけ。(2013年4月14日 高知民報)