県立高 空調機器を公費整備へ 保護者負担軽減へ大きな前進
 
高知県教育委員会は県下の県立高校(36校)に生徒用の空調設備を公費で整える方針を固め準備に入っています。3月13日の県議会予算委員会で中沢卓史県教育長は、中根佐知議員(共産)の質問に答え、空調の費用負担について「過去の経緯はあるが基本的には、できるだけ公費で負担する方向で検討したい」、「長い歴史の中で支援していただいてきたが、保護者の好意に甘えすぎてはいけない」と現状を打開していく方向を示しました。

これまで、高知県内では一部の学校をのぞき公費による生徒用の空調設備はなく、PTA負担によって設置されている学校が12校(須崎、須崎工、追手前、小津、西、高知工全、高知工定、清水、高知南、嶺北、丸の内、岡豊、中村)。この背景には、安易に保護者負担に頼る高校現場の体質がありました。

しかし昨年、全国の高校で公費で負担すべきものを保護者負担させていることが全国紙で取り上げられて問題化し、文部科学省が調査を実施。

さらに空調がPTA設置の場合、校舎の一部をPTAが目的外使用で借用する契約になるため、県教委が実施する校舎の耐震工事等の際に、一時的に空調設備を取り外し再設置する費用をPTAに求めなければならないという矛盾にも直面。高知追手前高校の場合、この費用負担額が320万円にものぼることにまります。このような問題が今後、起きないようにするためには、学校の設備は公費で設置するという、本来の姿に戻すことが最も自然な方法でした。

中沢卓史・県教育長は取材に対し「以前から空調の公費化はやらなければという気持ちはあった。予算面の折り合いがつかなかったが、目処がついたので踏み込んだ。内部での作業をすすめ26年度には目に見えるかたちにする」と述べ、PTAが設置している設備の公費化とともに、現在22校残っている空調未設置の高校についても、公費で計画的に設置していく計画をつくる内部作業に入るとしています。



3月13日の高知県議会予算委員会で空調費PTA負担などについて中根佐知議員(共産)が行った質問、中沢卓史・県教育長の答弁の要旨。

中根議員 高校PTAでは各学校の特色はあるものの、PTA会費以外に教育振興費や空調費があり、教育条件整備を支えてきた経過がある。高校は教科書も教材資料費も必要で年間3万円から4万円のPTA諸会費を払っている。PTAによっては負担が大変なので総意で減額した高校もある。本来の学校納付金の姿になれば保護者負担は大きく減額されるが、どう受け止めているか。

中沢教育長 PTAから諸々の支援をいただいている。まずは適正化をはかり、公費負担のあり方の再検討が必要だ。

中根議員 しっかり精査して甘えずに、公的な負担をすべきところは、するという姿勢を貫く必要がある。

中沢教育長 @公費負担を原則とするもの、A保護者負担を原則とするもの、B公費負担が原則だが保護者等の要望によりプラスアルファでよりよいもの、というものに分類した。

@は1月の校長会で来年度からは徴収してはならないと伝えてある、Bのプラスアルファについても、もう少し保護者負担を軽減する方向、公費負担をよりしていく方向で考えていくべきだということで現在ツメをしている。

中根議員 空調費の負担が大きい。夏場は冷房がなければやっていけない実態があるわけで、そんな中でPTAが設置して電気料も払っている。生徒1人あたり小津高は6960円、岡豊高は1万200円の負担だ。大変大きな額になっている。空調費用についてどう考えるか。

中沢教育長 過去の経緯はあるが基本的には、できるだけ公費で負担する方向で検討したいと考えている。ただ、現在12校で保護者負担で冷房設備を入れているが、まったく入れていない学校もある。今、保護者に入れてもらっているところを公費でみるだけでは解決せず、今入れていないところをどうするかという問題もある。早急に全体計画を立てて、できるだけ公費で負担する方向で検討したい。

中根議員 是非検討してほしい。冷房は必要と判断するのが今の時代だ。負担を軽減する方向で議論がすすむように納付金についての丁寧な説明が必要だ。

中沢教育長 長い歴史の中で保護者が子ども達に、よりよい環境をということで支援をいただいてきたが、その好意に甘えすぎてはいけない。必要なものは公費で負担し、経緯について保護者に話をしてよりよい教育環境を作りたい。(2013年3月15日 高知民報)