法失効から12年が経過した同和行政の残存事業について岡ア誠也・高知市長は2月27日の記者会見で、旧同和地区住民の状況について「生活保護や雇用の環境は厳しい。一定そういう政策は入れていく」と述べ、旧同和向け市営住宅入居募集情報を旧地区内だけで限定周知するなどの特別扱いを今後3年間も続けていくことを明らかにしました。
同和行政を根拠付ける法律は2003年度末をもって完全失効したことから高知市では個人給付的な事業は基本的になくなったものの、@隣保館=市民会館の運営、Aこども会と児童館の運営(一般施策の子ども会や児童館とは異なる)、B同和系列団体への随意契約による清掃業務の発注=仕事保障、C旧同和住宅の入居募集における「一定の配慮」を柱に、実質的な同和行政が続けられてきました(当初は4年、以後は3年ごとに見直しを実施)。
前回(2010年)の見直しでは、@隣保館=市民会館は、全部で13館ある館を大型館=朝倉総合、小高坂、長浜、春野に職員の配置を集約する形で今後も存続、Aのこども会と児童館は予算を絞りつつも存続。
今回の見直しでは、Bの仕事保障が「同和団体」への随意契約を禁ずる裁判所の判断を受けて継続できなくなり、「高齢者団体」に衣替えする形で一定透明度があがったスタイルでの随意契約で発注することになっています。25年度の事業に手を上げた団体の中には同和団体系列でない新団体の参入もわずかながら見られますが、総量は減りながらも「同和団体」時代と大きな変化が見られない野は現実で、公正な事業募集へ市民的な監視が必要です。
まったく手つかずなのがCの同和住宅の入居募集情報。現在は旧同和地区住民への「一定の配慮」として、市広報「あかるいまち」に空き部屋の募集情報は一切掲載されず、市民に等しく知らされていません(隣保館が発行する「館だより」にだけに載る)。不公正という批判は市役所内部にも強くありますが、今回もこの措置が継続されることになりました。
岡ア市長の発言は以下
岡ア 3年ごとの見直しの時期になっており、今見直し部分を入れ込んでいる。制度関係は、この間ほぼ整理しているので、制度を新たにはめ込むことはないが、ただ実態としては、相当厳しい情勢にあることは間違いはない。生活保護や雇用の環境は非常に厳しいのは間違いないので、一般対策にはなるが、一定そういう政策を入れていかなくてはならないという総括をしている。
―これまでの3年間の延長か。
岡ア 基本はそうだ。まだまだきびしい状況にあるということは、我々も把握しているので。(2013年3月10日 高知民報) |