2013年1月27日

高知白バイ事件 偽証再度不起訴に 再審請求ネガ捏造にも言及 高知地検
「高知白バイ事件」(※1)における県警の捜査や警察官の裁判証言に偽証や虚偽公文書作成があったとして当時の県警本部長などが訴えられていた事件(高知地検は起訴せず)について、高知検察審査会(※2)が不起訴不当を決議(23年6月)したことに基づいて同地検が再捜査した結果、再び嫌疑なしとして不起訴処分にしたことを1月16日、同地検が公表しました。

橋本晋次・次席検事は検察審査会の指摘に反論する形で、嫌疑なしの理由について言及。

同僚白バイ隊員が、「裁判で事故者の白バイが時速60キロメートルで走行していたとの証言は客観性に欠ける」との指摘に、「スリップ痕や擦過痕の長さ、バス重量などを自動車工学的に鑑定した結果、速度60キロメートル以下という結果が出ており、検察審査会の指摘はあたらない。現場で違法な高速運転訓練をしていた事実もない」と述べました。

また橋本次席検事は裁判所、検察、弁護側で協議中である再審請求(※3)で争点になっている県警による証拠写真改ざん問題にも触れ、裁判所・弁護側立ち会いの下で問題があるとするネガフィルムを電子顕微鏡で撮影した結果、デジタル写真を加工し改ざんした印刷物を再度ネガフィルムに複写すれば出るはずのドット(点)が写っていないことから、「写真の偽造はない」とコメントしました。

同時に「この判断は検察の見解であり鑑定を経たものではない」とも述べ、今後の再審請求をめぐる協議でネガの鑑定結果が重要な意味を持つことになります。

このネガ調査は、再審協議の中で取り組んでいるものであり、今回公表した不起訴処分とは直接関係がないにもかかわらず、鑑定結果を待たず検察独自の見解を公表する手法には関係者から疑問の声も出ています。

※1 旧春野町(現高知市)の国道でスクールバスと県警交通機動隊の白バイが衝突し同隊員が死亡した事故での過失を問われ元運転手の片岡晴彦さんが実刑判決を受けた事件(服役は終えている)。片岡さんは無実を訴えている。

※2 検察官の不起訴判断を不服とする者の求めに応じ、判断の妥当性を審査する機関、審査員は市民から選ばれる。

※3 判決が確定した事件の判決を取り消し、裁判の審理やり直しを申し立てること。(2013年1月27日 高知民報)