2012年5月27日

委員会中継に自公が抵抗 県民の前で議論なぜできぬ

高知県議会・議会運営委員会(浜田英宏委員長)は議会改革についての議論を続けていますが、昨年末に各議員ごとの採決結果公表に取り組み始んだ以外に目立った動きは見られません。5月14日の会議では県議会の情報公開としての試金石となる常任委員会審査のインターネット中継に自民党・公明党の議員が露骨に抵抗する後進的な姿が露わになりました。(発言内容は別項)

インターネットによる議会中継は、県民が議会の生の情報に自由にアクセスできる安価なインフラとして不可欠なもので、高知県議会でも、すでに本会議、予算委員会で実施されています。

この中継を4つの常任委員会に拡大し、同時に配信できるシステムを構築した場合には、300万円から1600万円の費用がかかるという見積りを県議会事務局が提示しています。

高知県議会の常任委員会は、時間制限がなく各課ごとの審査が可能。県民が議員活動を評価する上でも、重要な場ですが、現行制度では傍聴が許されるのは原則6人だけ。また審議日程が不確定であることから、一般の県民が議場まで足を運び傍聴するのは至難の業で、インターネット中継が始まれば県民がアクセスする利便性は飛躍的に向上します。

また現行では議事録が公開されるのは数カ月後。県民の関心が高いホットな新しい話題の記録は事実上闇の中に近い実態があります。このような状況を一日も早く改善するために、議会自らの責任で、可能な限りの条件整備をすることは当然です。

5月14日の議論では自民党主流派、公明党が常任委員会のインターネット中継に強く抵抗しました。

土森正典議員(自民)「現状で問題ない。画像に写るとなると質問時間の配分を考えなければならない」、西森雅和議員(公明)「公平な形で放映されるのか」などと言いながら、全く別問題である質疑に制限時間のない委員会審査の方式がし、委員会中継を導入するとできなくなくなるとこじつけながら中継を否定しました。

また45歳の若手・西内健議員(自民)は「インターネットで見る人が何人いるのか疑問だ。発信する目的は、対
象は誰か。そこが明確にならないまま 大きなコストをかけるのはどうか」と発言しました。

これに対し、武石利彦・中西哲議員(両者とも自民)は「今回の議会改革の議論は、昨年末に制定された議会基本条例の理念実現のために情報公開をすすめていくものだ。そこをはずしてはいけない」とクギ。日本共産党、民主党・県民クラブ、南風からはインターネット中継をすすめる立場からの発言が相次ぎ、夏にむけてさらに検討を深めることで落ち着きました。

解説 今議論がすすめられている議会改革の試金石は、常任委員会審査のインターネットネット中継にあり、同議会事務局にも早急にやるべきと考える職員は少なくありません。

これまで常任委員会では、県民の目が届かないのをいいことに、余りに低レベルな質疑、執行部への恫喝やいじめまがいのことがまかり通ったり、持ち込みが禁じられているはずの携帯電話に出るため何度も中座する議員が目立つ実態があります。

これを打破し、県民本位の県議会へと改革をすすめるていくには、委員会の審査を県民が監視し、白日の下にさらすことが核心となります。

常任委員会審議のインターネット中継は、この重要な第一歩となりうるものであるだけに、一部議員の抵抗は強いものがあります。

中継させない口実にこれまでの視聴実績の少なさを上げるむきもありますが、視聴に値しない議会活動だと県民に評価されていることに他ならず、天に唾するもの。視聴数向上は、県民がアクセス可能な仕組みを構えてからの議論です。
 

この他、常任委員会ごとの決算審査は自民・公明の反対で頓挫。やる気になれば、すぐに始めることができる議会運営委員会の公開も意味なく先送りするなど、自民・公明を初めとする議会改革への後ろ向きな姿勢がにじみ出ています。(N)(2012年5月27日 高知民報)