2012年11月11日

反原発のうねり社会変える 雨宮処凜

 
雨宮処凜さん
首相官邸前は毎週金曜日は原発、水曜日は生活保護切り下げや消費税増税、火曜日がTPPに反対する行動になっています。原発はある意味、戦後の日本の政治の犠牲の構造の象徴で、大きな矛盾をはらんでいるので、原発問題をきっかけに社会問題全般に目覚めたという方は多くいます。

官邸前行動には半年間でのべ100万人以上が来ている。こういう動きは、かつてなかった。事故から1年7カ月たっても、全国各地で脱原発を求めるデモや集会がずっと続き、これにものべ数百万人が参加しています。行動に関わった人達が、また自分の地域で、いろんなことを始めている。これは10年くらいのスパンで見た時、日本の民主主義にすごく大きな影響を与えてくると思います。

官邸前行動の参加人数は減ってきていますが、全国的にはデモの回数が増え、毎週金曜日の行動は全国の約100カ所で取り組まれています。

10月13日には札幌で1万2000人が集まり、私も参加しました。北海道には泊原発や津軽海峡対岸の大間原発建設再開という問題ありますから。こういうひどい状況が続く限り、市民の行動は続かざるをえない。否応なく当事者として現実を突きつけられる。原発というのはそういうものですから。

若い人の大きな変化を感じます。首相官邸前行動を呼びかけた「首都圏反原発連合」も、ほとんどが3・11後に原発問題に取り組んだグループや個人の集まりでしたが、やはり若い人が多い。これまで運動に関わってきていない人達が、一から運動を作っていったことで、若い人も入ってきやすかった。

「首都圏反原発連合」には、反貧困運動やプレカリアート(※)のデモをやってきた人もメンバーにいて、最初に東京でやった大規模デモは高円寺の「素人の乱」という「貧乏でも楽しく生きる」という運動をしてきた人達が呼びかけたものでしたが、いきなり15000人が集まり、起爆剤になりました。これらの人達がデモのノウハウを持っていたので、それが役に立ったという感じはします。

みんな選挙を意識して、議員の原発問題での発言を調べ始めています。投票も大事ですが、その前に、「この議員はどういう人で、原発問題でではこういう発言をしていました」というのをまとめて発表する準備もしています。

官邸前には、政治家がたくさん,来てしゃべってくれますし、いろんな著名人も来ます。政治との付き合い方、動かし方みたいなものを平場で一から学んでいる感じ。これはすごい経験の蓄積になります。

高知のメルトダウンブルースって全国で大流行してますよ。どこのデモも歌ってますね。(2012年11月11日 高知民報)