2012年10月7日

中四国防衛局 オスプレイ配備についての報告

 
 高知県庁、9月24日
9月24日、防衛省中四国防衛局が高知県、本山町、土佐町、大豊町、大川村に対して行ったオスプレイ配備にあたっての説明の概要を紹介します。

墜落要因

松田尚久・中四国防衛局企画部長 モロッコの事故は副操縦士の人的要因。オスプレイの揚力は向かい風が前提になっているが、ヘリモードで離陸後、速度が出ていないのに追い風の中でナセル(可動プロペラ)を倒したため15秒で墜ちた。副操縦士の訓練時間が日本と比べると少ない。

フロリダは海兵隊のMVでなく空軍のCV。CVは特殊訓練をする。2機編隊が的確な距離と高さをとっていればよかったが、前の機の乱気流をまともに食らってスコンといってしまった。

再発防止策

松田企画部長 日米合同委員会で以下の措置を再発防止のためにとることを確認した。経験をつんだ機長が副操縦士を指導する、編隊飛行における適切な位置の維持にかかる技術の訓練の徹底、飛行中の航空機間の意思疎通の確保、さらにフロリダのような低空における編隊飛行は可能な限り基地の中で実施する。飛行マニュアルの継続的な見直し。
 
低空飛行訓練について合同委で合意しているのは500フィート以上で飛行し、原子力エネルギー施設、史跡、人口密集地の上空を回避すること、米軍基地周辺における飛行経路は可能な限り学校や病院を含む人口密集地上空を避けるよう設定し、可能な限り海上を飛行すること。

垂直離陸モード、転換モードは運用上必要となる場合を除き基地内に限り、転換モードの時間を可能な限り短くする。普天間の夜間訓練飛行は、在日米軍に与えられた任務を達成し、飛行要員の練度を維持するために最小限に制限する。

オートローテーション

松田企画部長 両方のエンジンが故障するのか。今まで両方のエンジンが故障したことはない。海上自衛官がシミュレーターで同機能を保持していることを確認済み。降下率は一般のヘリよりかなり早く、着陸の時にはガシャンといくのが前提になり機体損傷の可能性があるので実機ではなくシミュレーターで訓練している。仮にオートローテーションが必要となる場合でも、飛行場敷地内に安全に戻れるようあらゆる措置をとる。

事故率 

松田企画部長 MVはモロッコを入れて1・93。海兵隊平均の2・45より低い。(全機種10年間の事故率)

高松清之・県危機管理部長 空軍(CV)を足し併せるとどんな結果になるのか。

松田企画部長 MV22は海兵隊の輸送機、CVは特殊作戦機だ。機体のベースは一緒だが、任務が違うと運用も大きく違う。より苛酷な条件でCVは飛んでおり、運用実績も浅いので、これを含めてしまうのは不適切。MVと比べるとF15、AH1コブラのほうが高い。MV22だから特段危険なわけではない。

安全性

松田企画部長 様々な角度から安全性の検証を行った結果、機体の安全性には特段の問題はない。特別に危険という根拠は見いだせなかった。人為的ミスについては再発防止策がすでにとられ改善されている。日本国内での飛行運用についても、地域住民に十分な配慮がなされ最大限の安全対策がとられることを日米間で合意した。日本政府として安全性は十分確認されたものと考える。日米合同委の合意が遵守され、地域住民の安全に最大限の配慮がなされる前提に立ち、我が国におけるオスプレイの飛行運用を開始させることを政府として決定した。

操縦の困難性

松田企画部長 海上自衛隊のヘリのパイロットが専門家の立場で確認した。シミュレーターで操縦した感じでは、普通のヘリと比べて操縦しにくいことはない、安定していると確認している。

オレンジルートでの飛行訓練
 
松田企画部長 日米間で検討することになっている。

高松危機管理部長 検討の結果、飛ぶことになったら説明があるのか。

松田企画部長 これ以上のことは言えない。まだ沖縄に配備されていない状況下。反対があるのは承知している。極力ヘリモードは基地内にかぎるなどの合意を守ることが安全への配慮になる。

和田守也・土佐町副町長 住民はそれで安全と思うのか。ズレがある。地域住民は誰一人納得していないのに飛ばすのは乱暴。我々は20数年前から低空飛行をされている。国にもアメリカにも中止してくれと言っても、何もとりあってもらえないし、配慮は一切してもらっていない。今まで一度もないのに、これから配慮するのか。

高松危機管理部長 オスプレイが安全かどうか別として、本県の飛行回数が増える。オスプレイの話が出る前から訓練中止を要請してきたが、昨年も何十回を数えている。低空飛行訓練全般の中止を米軍に要請してほしい。

オレンジルート下には日米合同委員会で避けて飛行することが合意されている人口密集地、公共の安全にかかる建造物、学校病院が多数存在している。米軍にオスプレイを含む、飛行訓練中止をこれまで以上に強く要請することを求める。(2012年10月7日 高知民報)