2012年9月30日

豪華庁舎いらない 鉄骨構造なら費用半分 予算は市民の暮らしに 高知市議会で提案

 
約8億円で建った鉄骨構造の淡路市庁舎
高知市が2017年度の完成をめざし、水没地域である現在位置への建てをすすめる市役所本庁舎について、最新の地震の被害想定を反映しないまま現在地に安易に決定したことへの批判とともに、多くの市民の願いである簡素で安価な庁舎を実現し、市民負担を軽減することを9月19日の同市議会で下本文雄議員(日本共産党)が求めました。

市が示す構想の事業費は上限125・5億円まで膨張(鉄筋コンクリート構造)。市庁舎建設に国の補助金はなく、市独自の基金積み立ても取り崩して底をついているため、ほぼ100%が市民負担になります。

下本議員は、阪神淡路大震災で大きな被害を受けた淡路市が2005年に建
設した鉄骨プレハブ構造の庁舎を紹介。「淡路市の職員は540人、庁舎は約
5000uで、建設費その他の備品を入れて11億円、3階建て。耐用年数は30年。本庁舎だけなら8億円だ。費用を抑えたことで全国から視察が相次いでいる。住民負担の軽い、鉄骨プレハブ庁舎を検討対象にして、南海トラフ巨大地震をやり過ごすことも考えるべきだ」と求めました。

2011年に高知市が行った市民意識調査では、市民が高知市政に望む施策は災害対策、仕事の確保、環境、子育て、高齢者対策が上位。

数年前まで、岡ア誠也市長自ら同市の危機的な財政を強調し、「このままでは第二の夕張になり、財政再生団体に転落する」として、固定資産税増税や家庭ゴミ収入の有料化を市民に求めていた高知市にとり、市庁舎は豪華である必要はなく、限られた人材と予算は市民要求実現と地震・津波から市民の命を守る施策に最優先に回すべきものです。

岡ア市長には建設場所の再検討、分散型庁舎へのシフトも併せ考えながら、市民負担を軽減するため全力を尽す責任があるのではないでしょうか。

鉄骨構造の庁舎について市長は「防火区域であり、震度7に耐えなければならない」などと消極的な答弁。まともに検討しない姿勢を示しました。

実際に鉄骨構造の建物を防火区域に建てるには、耐火構造物として認定されている壁を使えば足り、3階以上も建設可能、耐震・液状化にも対応でき、岡ア市長の指摘は的外れです。高価な鉄筋コンクリートありきではなく、市民負担を軽減するための真剣な検討が求められます。(2012年9月30日 高知民報)