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金銭管理業務を実施するNPO法人の事務所) |
高知市が生活保護受給者に支給される保護費を、一度に渡すのではなく小出しにするなど適切に管理し浪費を防ぐ「金銭管理業務」を9月1日から民間団体へ委託した問題で、この「委託」が外部団体への請負業務として許される範囲を超え、下請け=実質的な派遣労働、「偽装請負」にあたるのではないかという指摘が出ています。
この委託業務は、従前市職員のケースワーカー(CW)が福祉事務所内の金庫に現金を保管して金銭を管理していましたが9月1日から、業務をNPO法人・ワーカーズコープ(東京都中野区)に委託しました。
同コープ職員3人が高知市役所に隣接する民間ビルのフロアに月曜から金曜、8時半から17時15分まで窓口を開設。市のCW・受給者本人・コープとで取り決めた個別の支給方法(毎日500円、週5000円など)により、窓口を訪ねてくる受給者に現金を渡す業務が中心的な仕事になります。
同市福祉管理課によると委託業務は、@生活保護費、年金、各種手当ての管理、A家賃、公共料金等の日常的な債権の支払い代行、B預金通帳の預かりなど財産保全、C日常生活費全般の管理(分割払いや送金等)、D入院・入所者や買い物の困難な在宅高齢者等の日常品購入、送付、E財産管理にともなう各種相談などの分野。
このように受給者のプライバシーに踏み込んでいかざるをえない業務を、委託=請負として求められる受託業者の独立性の発揮、受託団体が市の指揮命令を受けず独自の専門性に基づき判断して業務にあたることが可能なのかということが問題になります。
同市福祉管理課では「団体に逐一指示はしない。対応は任せることになる。直接指示が必要な受給者については委託せず、これも新たに設ける非常勤特別職(市職員)で対応する」と「偽装請負」にはあたらないことを強調します。
しかし、現実問題として現場で問題が生じた時、団体側が独自の判断をすることは困難であることが予想されます。「請負」とされるためには、受託側が専門性を発揮して独自の判断で業務を遂行しなければなりませんが、厳密に徹底すればするほど、受給者とCWとの距離が生じ、生活保護行政の民間任せにつながり、その一方でCWが細かく指揮命令すれば、法に触れ「偽装請負」になってしまうというジレンマに陥ります。
舛田郁男・同市健康福祉部長の話 偽装請負にならないようにしっかり内部で議論してきた。事前に三者(市、団体、受給者)で同意した支援計画書に基づいて金銭管理をしてもらうことになり、問題ないと考えている。金の受け渡しだけでは専門性は発揮できないかもしれないが、他県での活動の実績、研修をしていくことで専門性はあると考えている。(2012年9月16日 高知民報) |