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取材は頭撮りだけしか許されなかった |
あまりの事故の多さから米軍関係者に「ウィドウ・メーカー=widow maker」(未亡人製造器)と呼ばれる垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機が普天間米海兵隊基地に配備されるため、民間輸送船で日本に向かう最中の7月5日、高知県庁で中四国防衛局による「オスプレイ配備に関する説明」があった。
高知県のスタンスは、@安全性について国民が納得する説明責任が果たされておらず2月のモロッコ、6月のフロリダで起きた事故について説明を求める、A安全性が確保されない現時点で配備は反対、Bオスプレイであろうと他の機種であろうと低空飛行訓練中止を求めるという、県民の安全を守るうえで当然のものである。
オスプレイ配備は沖縄や岩国にとどまらず、オレンジルートによる低空飛行訓練の被害を受ける高知県を含む広範な自治体の重大な関心事で、説明の内容はメディアを通じ県民に開かれた形で行われるのが当然だが、今回の「説明」は取材ができなかった。
防衛局という役所は沖縄局長の「犯す」発言、選挙で職員に基地支持派への投票を強要する「講話」、辺野古環境評価書の深夜持ち込みなどが記憶に新しい。在日米軍の代弁者としての使い走りが基本的任務である。
今回の「説明」は米側が日本に通告した「接受国通報」(第一海兵航空団の機種変更を10月初旬に行う)の内容、「安全性に何ら問題はなかった」、「事故分析の調査結果が出て安全が確認されるまで、世界で運用を見合わせているのは日本だけ。極めて異例の措置」などということを繰り返したと思われるが、実際のやり取りは不明。
説明終了後、取材に答えた中四国防衛局・藤代誠企画部長に「非公開は防衛局側の意向か」と訊ねると、「従来からの一般的なやりかた。互いの調整の結果だ。私に全面的な公開をしてくれという話は来ていない」などと曖昧な回答に終始した。
これほど県民の関心が高い問題の説明を非公開でやらなければならない理由がどこにあるのか。徹底的に公開し透明性を高めることが説明責任につながるはずだが、そもそも真剣に説明するつもりなどなく、単なるアリバイ、「説明してやる」という米軍の虎の威を借る上から目線を感じてしまう。
高知県側の対応にも不十分さがあった。防衛局に明確に「公開で」という要請をしておらず、当日午前になり非公開に抗議するメディアの指摘で、とりあえず「要望を伝える」程度になってしまったのは感度の鈍さのあらわれだ。高松清之・県危機管理部長が「今後は、フルオープンでやることを申し入れる」と反省ともとれる弁を述べたが、このようなやり方では県民の不信を広げるということを強く指摘しておきたい。(N)(2012年7月15日 高知民報) |