こども条例関連予算についての発言 県議会文化厚生委員会
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3月9日と13日に高知県議会文化厚生委員会で行われた、高知県こども条例関連予算と第2期「高知県こどもの環境づくり推進計画(こども条例のめざす理念を実現するための12のプラン)」についての各議員の発言の要旨、執行部答弁の一部を紹介します。(速報版、敬称略)
中西哲(自民党) こども条例を作った時にはずいぶん議論があり、僅差で否決(可決のことと思われる)され、計画を1期やってみて、もう一度議論することになって終わった。具体的に5年間どういう活動やって、どういう成果がでたのか。
竹崎恵彦少子対策課長 やや理念的な条例なので成果を数値としては出せない部分もあるが、それぞれの担当課でそれぞれのプランに基づいて取り組まれている。2期目の計画では日本一の長寿県構想や教育振興基本計画などの取り組みを加え、実施する担当課を明記し、進行管理をPDCAサイクルでしっかりやっていく。条例を実現していくためには基礎学力、教育の充実が必要だという認識に立った計画であると整理している。
西森雅和(公明党) 今回、教育の充実が計画に示され、基礎学力の向上という話もあったが、そもそものこども条例と矛盾してくるのではないか。教育に力を入れるという知事の考えと、条例が矛盾していくのではないか。
小田切泰禎地域福祉部長 矛盾するしないというよりも、条例19条に推進計画を作成すると書かれており、計画を策定するのが執行部の役割だ。
森田英二(自民党) そもそも出発が矛盾している。子どもを遊ばすとか、自由闊達にというのと、教育を入れ込むことが本来の条例の趣旨と矛盾していないか。
西森雅和(公明党) 4条に誰も子供の人格や個性を妨げることをしてはいけない、13条には自分が思ったこと感じたことを素直に表現したり意見を表明することができるとある。
こういう条文がいろんなとらえ方をされてしまう。教育で、子どもを教え、育て、育んでいくことに反していくような条文になっているという議論もあった。それでもできてしまったわけだが、今回の計画の見直しの中で教育という言葉が出てくることが、個人の成長を妨げてはいけないとか、子どもはどこで何を学ぶかを広く選択できるとか言う条文に反するのではないか。
条例自体が、子どもに自由に遊びましょう、居場所を作っていきましょうという理念が含まれているわけで、そこに教育という言葉が入ることがどうなのか。
小田切部長 理念はいろんな見方ができる場合があるので、解釈が逐条として整理されている。教育についてはこれまでの教育のあり方を踏まえて教育委員会で計画がなされているものと考える。
西森雅和(公明党) 高知県が新たな知事になって進んでいこうとしている方向性に、本当にこの条例があっているのか。この時代の高知県に、この条例が必要なのかを疑問に思う。条例ができる時に公明党は反対したが、今でもどうなんだろうと思う所はたくさんある。18条には「県は県民や市町村と連携して条例に基づく活動をすすめる」とある。そこまで市町村や県民に働きかけをするのは、本当にどうなんだろうかと思う。子ども条例記念日はなぜ8月6日なのか。
竹崎課長 条例の公布施行日だから。
西森雅和(公明党) 施行日はなぜ8月6日なのか。
竹崎課長 おそらく意図的にどうのこうのではなく、他の7月議会の条例と同じ日ではないか。
西森雅和(公明党) もし予算を認めると、むこう5年間のプランの活動を認めることになるのか。
小田切部長 24年度の予算をお願いしている。
西森雅和(公明党) 計画は5年間の計画であり、予算を認めると計画自体を認めることになるのか。
小田切部長 計画は5年だが、予算は単年度ごとにお願いする。
西森雅和(公明党) 計画は議会が認めるものではないのか。
竹崎課長 そういうことだ。
西森雅和(公明党) 反対の思いを示そうとしたら、どこに反対すればよいのか。
小田切部長 計画は条例に基づいている。
西森雅和(公明党) 条例自体もどうなのかというところまでいかなければならないのか。
小田切部長 成立している条例なので、そこはどうこう言えない。
西森潮三議員(自民党) それは我々が考えなければならないことだ。いろいろそんなことを運動する人がいて、当時の橋本知事は新物食い、全国に目立つことに飛びついた知事だから、こども条例は全国初めて。それを議論したことを思い出すが、そういう経緯だ。我々は反対した。これだけ学力を言っている時に子どもを自由奔放に遊ばせることはおかしいと。だが数が足りなかった。見直すべき時には見直さなければならない。今これが必要かどうかいうことは議会として真剣に考えなければならない。
森田英二(自民党) 尾ア知事の子どもの教育からやり直すという話に、条例そのものが本当にいるのか。条文の書き換えなりしないと、学力の伸長を阻害するのではないか。
西森雅和(公明党) 議会としても議論していくが、この条例が足枷になってはしないか、執行部としても考えてもらいたい。本当に高知の子どもたちのことを思った時にどうなのか。
中西哲(自民党) 予算がこども条例に基づくものであることは分かったが、条例と関係なしに教育委員会が取り組んでいるものが多い。条例がなければ事業ができないものではない。事業を否定するつもりは一切ないが、こども条例がなければ事業ができないわけではない。
岡本和也(共産党) (条例を)やめさせるためのこじつけではないか。
米田稔(共産党) 担当課とあわさって、子どもの健全な発達成長を県行政ぐるみでやろうとしている。計画があって総合的なこども条例に基づく目標が達成できる。子どもの貧困は7人に1人と政府が言っている。スクールソーシャルワーカー配置、中学の子どもを高校に進学させる事業をやったり、新たな局面にふさわしい取り組みがあるわけで、プランがなければ総合的な対応ができない。子どもの実態、社会の実態に応じたこども条例にすることに努力し、他の課に働きかけもしてもらいたい。学校に行くことすら深刻な状況が少数ではなく広がっている。全体を統括する調整機能が大事。PDCAサイクルを具体化して激励もし、各課と一緒にやっていくことが大事。
西森雅和(公明党) 条例自体がわかりにくいし、条例に基づく形で推進計画を立てることは、矛盾している部分がある。こども条例と県教育振興計画はどちらが上にあるのか。
小田切部長 どちららが上、下ではない。
西森雅和(公明党) 教育振興基本計画は、こども条例に基づいていない。18条2に「県は県の取り組みについて子どもの視点に立って進めます」とあるが、子どもの視点に立って教育振興計画が作られているのか。子どもの視点と子どもを大切にする視点は違う。子どもの視点はまさに子どもの視点だ。条例自体、本当にいいんだろうか。今の時代に合うんだろうか。
これから条例の是否にについて議論していかなければならない。第2期計画は条例の理念を実現していくためと書いてあるが、、子ども条例そのものが県民に知られていないということが明らかになったともある。理念どころか条例そのものが知られていない。今まで様々な催しをして、毎年フォーラムを開きながら、こども条例そのものが周知されていないのは計画自体に問題があったからだ。新たに計画を作って推進していくのは納得できない。この予算案は凍結すべきだ。
森田英二(自民党) 子どもを取り巻く環境、高知県の子どもの実態が、最近になって全国学テを含め、体力も学力も非行も浮き彫りになってきた。規範の育った子、芯の育った子に育て、基礎学力が最も大事という政策に基づき、新しい教育長と知事で子ども全般を取り巻く政策が動いている時に、手放しな子ども礼賛、子どもの気持ちを主体にすべてが動くということについて大いに疑問がある。県の政策遂行に齟齬がある。
岡本和也(共産党) なんで条例に反対するのか。条例があることの弊害が分からない。やめさせるためのこじつけにしか聞こえない。条例があるから子どもが大切にされていないような言い方ではないか。
坂本孝幸(自民党) 子どもが自分の権利を学び知る権利があるという条文があるが、権利は義務と一体。権利だけを主張している印象がある。義務を一体化して教えていかないと片手落ちだ。子どもの理解力はそういうところにある。
米田稔(共産党) 周知徹底が不十分ということだが、どう広めていくかが大事。一定の予算がないと県民への周知もできない。もっと予算も増やして、子ども自らが権利を持っていることを学べるよう検討してほしい。
子どもの権利条約は自民党政権時代に批准している。子どもの権利は世界の流れ。今ほど子どもたちの育ちが困難な時はない。立場を超えて子どもの発達をどう保証するかという意味でも、日本弁護士連合会も決議を上げて子どもの貧困をなくすためにやりますと国民に呼びかけている。今日的にますます重要な誇りにしてよい条例だ。
中西哲(自民党) 1994年に条約は批准したが、条例が条約からはみ出ることはいけないというのが当時の自民党本部の見解だ。
田村輝雄(民主党・県民クラブ) 未熟で行き届いていない部分があるとしても、意見を聞きながら(第2期計画を)固めていってほしい。(2012年3月14日 高知民報) |
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