2012年2月12日

旧同和地区調査が全国で 県は解放同盟の協力要請拒否

「今後隣保館が取り組むべき地域福祉課題を明らかにする実態調査」が全国的に取り組まれていますが(2月末まで)、この調査は「地域住民」と称し、旧同和地区住民の低位性を明らかにしようとするもの。部落解放同盟が強く求めてきた被差別部落調査的色合いの濃い重大な問題を持つ調査ですが、高知県では県が調査への協力を拒否し、また調査とはいっても旧線引き内エリア(属地のみ)の行政データを電算上でマッチングする作業にとどまるために、混住が進む地域で「属地属人主義」にこだわる高知市の考え方とは矛盾が見られるなど、注目される点もあります。

この調査は社会福祉法人・大阪府総合福祉協会(大阪府の外郭団体)が、厚労省の委託を請けた形になっていますが、全国の市町村立隣保館が加入する「全国隣保館連絡協議会(全隣協)に再委託され、実質的には全隣協がイニシアティブを持った調査。

川崎正明・全隣協会長名で昨年11月28日付に市町村や隣保館長に出された依頼文書には、この調査の目的が「隣保館運営費補助金制度存続」のための取り組みであることが示されています。

調査の核心は「地域住民」で、かつての同和地区と同一線引き内の人口動態、世帯状況、課税、生活保護、障害者の割合、介護保険認定者、乳幼児検診未受診者、進学、就学援助、市営住宅に住む住民の状況などを事細かに、@「地域住民」(旧線引き内)、A「周辺地域住民」(小学校校区)、B市町村全体と比べる内容になっています。

部落解放同盟県連は県に対し、各市町村に文書で調査への協力依頼をするよう求めていましたが、県は昨年12月22日、尾ア正直知事名で「今回の調査の一部が地域を特定しているため、県の方針に基づき文書等による要請は行わない」と協力を拒否しています。

高知市人権同和・男女共同参画課は「属地属人でない調査は高知市の方針とは違うが、エリア内の住所で一括しデータをマッチングさせることになる。行政が情報を持っていない質問項目もあるので、どこまで回答できるか検討しているところだ」と話しました。